ついに執筆! 「記事を伝える」為に見据えたもの 朝日新聞出版「大学対抗!ネットニュース総選挙」参戦記 その4

朝日新聞出版メディアビジネス部が主催する「大学対抗!ネットニュース総選挙」に参加した日藝チーム(芸術学部文芸学科・小神野真弘ゼミⅢのメンバー)の活動を紹介する連載の第4回。数ヶ月に渡る準備期間が終わり、チームは遂に原稿の執筆に着手した。決して平坦ではなかった記事完成までの歩み、その一部始終を報告する。(文/爽@「大学対抗!ネットニュース総選挙」日藝チーム)

##過去の記事

#第3回

https://cross.art.nihon-u.ac.jp/post/79

#第2回

https://cross.art.nihon-u.ac.jp/post/74

#第1回

https://cross.art.nihon-u.ac.jp/post/67

#第0回

https://cross.art.nihon-u.ac.jp/post/45

筆者が任されたのは、アンカー役といって各メンバーが取材した内容をまとめ、1つの記事にまとめあげる役割だった。ただ、この作業は実に難儀なもので、各メンバーの記事から要素を均等に抽出しようとするとクオリティを担保するのは容易ではないし、3000文字という制約も重い。

そもそも、単純にそれを繋ぎ合わせるような既存のニュース記事をなぞる行為は避けたかった。もちろん、ゼミを代表して書くという事もそうだし、日藝の文芸学科という看板を背負わせていただくわけでもあるのだから、その分、らしさはどうしても出さなくてはいけなかった。

私がそれを見せようと思って取り組んだ点は、文章の中に一定の叙情を盛り込むという試みで、通常のネットニュースには見られないような表現を盛り込んだ。もちろん、そういう趣ばっかりを偏重してしまって、ニュースの内容が分かりづらくなったり、正確性が損なわれてしまったりしては本末転倒だから、この点は慎重に書かせていただいている。

白熱の取材!時間との戦い!

さて、こういう体験を記すにあたって、難しいと感じた点と、そこから得られた経験のような話をこれまでも記してきた。それをこれからも書いていくわけなのだけれど、結局、その中で群を抜いて1番苦しかったのは、時間だったと思う。

最後の取材であった10月8日にアミノバイタルフィールドで行われた日本大学vs慶應義塾大学の一戦。チアの声援で先導される拍手など、学生スポーツらしい熱気に包まれたスタジアムで日大アメフト部フェニックス後援会の皆様に混じって取材や撮影に当たった。

10月8日に行われた日本大学・慶應義塾大学戦の一幕。

試合は一進一退の攻防の末、主導権を握れなかった日大が敗れた。当たり前だが、いかなるスポーツにおいても競技者が有機的生命体である人間である限り、絶対は存在しない。だからこそ、試合前の練習や声出しの段階から、勝利から敗戦のいかなるシチュエーションに関わらず、執筆出来るようにあらゆるプランを検討しながら観戦させていただいた。なぜなら、それが責任であり、次の日が締切だからである。

どうしてこうなったかと言うと、第3回でも述べられているが様々な要因でアポ取りが遅れてしまったからだ。手元にある材料は、共同キャプテン2名のインタビューとディフェンスラインの選手のインタビューに加えて、監督インタビュー、マネージャーのインタビューの計4回のインタビューがある。

これに加え、観戦時の体験を記したものも当然、材料として存在する。まず手始めに、これらの取材の文字起こしを行い、精読。各インタビューごとに興味深い箇所をメモし、ここから選別を行う。3000文字というのは、記事では意外と短い。インタビューの引用でほとんど文字数が埋まり、地の文を差し込むのは簡単ではない。今回は特に、その地の文に対しての工夫はマストだったから、尚更やりくりの難易度は高い。

結果、この時点で共同キャプテン、ディフェンスライン、監督の3つに絞られた。この3つのインタビューを軸に、かつての不祥事から復活を目指す現場の奮闘を伝えることを主題に設定。設定理由は、かつての不祥事を犯した日大アメフト部のあり方と、いまの現場であれば、十分な対比が可能であると判断したからだ。転じて、私たち日藝チームのテーマである「日大生の考えるスポーツマンシップ」に通ずる点もあり、「大学対抗!ネットニュース総選挙」で掲げられていた「ReStart」にも合致している。

いよいよ完成!激務を終えた先に

書き上げた原稿は欠陥的だった。というのも、リード文は長くて読みづらい上、監督インタビューの項を多く取りすぎてしまい、現場の奮闘が見えづらくなってしまった。

そこで、ゼミの小神野真弘先生とアドバイザーである平井啓子記者(朝日新聞出版)の両名に校正を依頼した。私を含めた3名とも、概ね同じ意見で、改善案を掲示いただき第2稿に着手。

ここでは、小神野先生からいただいた「リード文はツイートと同じ感覚。140文字を超えないイメージで書くとまとまりが良い」というアドバイスを参考にコンパクトに改稿。

さらに、平井記者から長くなっていた監督インタビューにおいて、あえて地の文で説明を加えるテクニックを教わり、これによって簡略化に成功。ひとまず、原稿は人様に見せられる形にはなった。

だが、それで終われば苦労はない。今回は校正が何度も入る。取材先である日大アメフト部フェニックス様や、企画元であられる朝日新聞出版メディアビジネス部、日藝広報に加えて、日大本部の広報もチェック。細かな変更が重なり、Gmailは急増。この際、ディフェンスラインの選手へのインタビューは議論の末カットに。その他の表現についても、より読みやすくするため細かく変更。こうして試行錯誤の末に原稿は完成し、遂に公開まで漕ぎ着けた。

しかしながら、私はこの企画に参加中、記者という職業のパワフルさに圧倒されっぱなしだった。私達はチームで役割を分担しながら1つの記事を書いたわけだが、普段であれば記事は1人で書く。それを自身の体験によって、どれほど困難な事であるか想像出来るようになった事はこの企画に参加した最大の収穫だと感じる。日夜、現場での取材を精力的に行っている記者という職業への尊敬は、就労への恐怖と共に一層強くなった。

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“タックル騒動”から4年日大アメフト部はいま

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