日大アメフト部を取材! 白熱した日大 VS 慶應戦の行方は? 朝日新聞出版「大学対抗!ネットニュース総選挙」参戦記 その3

朝日新聞出版メディアビジネス部が主催する「大学対抗!ネットニュース総選挙」に参加した日藝チーム(芸術学部文芸学科・小神野真弘ゼミⅢのメンバー)の活動を紹介する連載の第3回。遂に「日大生の考えるスポーツマンシップとは」に決定した記事のテーマ。日大アメフト部への取材を中心にした記事を執筆する上で、同じ大学に所属する学生として出来る事はなにか。実際に現場取材を行った体験記を報告する。(文/國重 勇人@「大学対抗!ネットニュース総選挙」日藝チーム)

##過去の記事

#第2回

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#第1回

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#第0回

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私たち日藝チームの作成する記事のテーマが「日大生の考えるスポーツマンシップとは」に決定したのもつかの間、早速次の段階、構成についての話し合いが始まった。主題として挙げられた日大アメフト部タックル問題へのアプローチの方法、そしてネットニュース総選挙に参加する他の大学とは一味違う「日藝」らしさを出すことが出来るように、各々が案を出し合った。

アドバイザーである平井啓子記者(朝日新聞出版)との定例会議を重ね、やはり重要なのは現場の声を聞く事である、という結論に至った。実際の選手、監督などの関係者はアメフト部の活動を通じてどのようにタックル問題へと向き合っているのか、そしてそれを乗り越えて日大アメフト部というチームをどう「ReStart」しているのか。同じ日本大学の学生という近しい立場から、日藝という違った視点を持ってこれらを取材する事に決まった。

難航した取材 その理由は?

こうして決まった日大アメフト部への取材。キャプテンや監督に話を伺いつつ、最後に実際の試合を観戦させてもらう、という計画を立てたものの、その道程は順調とは言えないものであった。

理由は明白だった。当初は同じ日本大学であるから比較的容易だと想定していた取材のアポがなかなか取れなかったのだ。

取材依頼を作成した8月上旬では、1~2週間を目安に準備を進め、9月初週にある試合までに個別の取材を終わらせるつもりであったが、連絡の経路が複雑化してしまった影響もあり、取材許可が下りた頃には予定していた試合が終わった後だった。

ミーティングや事前準備に時間を費やすことが出来る夏休みも終わり、原稿完成の締め切りも迫ってしまう事態ではあったが、しかしこれも記事を作る上で得た学びであり、ネットニュース総選挙に参加しなければ得る事が出来なかった経験だった。

チームは頭を切り替え、取材の最終目標を、締め切り2日前の10月8日に行われる試合へと定め、取材準備へと取り掛かる事にした。奇しくも、その試合で日大アメフト部と戦う相手は、同じくネットニュース総選挙に参戦している慶應義塾大学であった。

こうして波乱の幕開けとなった取材計画であったが、難航したアポ取りとは真逆で、日大アメフト部の方々はこの取材に対して非常に親切かつ協力的な対応して下さった。それはこの取材の中でネックになると考えていた、不祥事とも呼べるタックル問題を関係者であるアメフト部に直接伺う事は失礼になってしまうのではないか、という不安も感じなくなる程であった。

しかし、いくら学生であるとはいえども、取材をさせて頂く以上は失礼にならないよう最低限の知識は必要である。あいにく私たちの中でアメフト経験者はおらず、ポジションやルールさえも分からないような状態であった。その為、アメフト部のご厚意に甘える形で、ご挨拶、顔合わせも兼ねて、私たちは取材の前に練習を見学させて頂く事になった。

初の現場取材 アメフト部の練習場へ

9月21日、桜上水駅から徒歩5分程、日本大学文理学部のキャンパスにある日大アメフト部の練習場にお邪魔した。屈強な選手たちの丁寧な挨拶と案内を受け、見学スペースについた私たちは、各自予習してきたアメフトのルールの確認や、頂いたパンフレットに書かれている監督やキャプテンのコーチ陣のインタビューを読みながら練習の開始を待った。

ほどなくして、練習場に響き渡る大きな声で集合が掛けられ、選手たちが集まり、練習が始まった。

日本大学文理学部キャンパスの練習風景

すぐに気付かされたのは、全体練習、ポジションごとに分かれた練習、そのどちらでも選手たちがお互いに声を掛け合ってコミュニケーションを図っている事だ。その光景は私たち、もしくは世間一般が想像するような大学の厳しい運動部、という雰囲気とはかけ離れた学生らしさを感じ、彼らの、何かを変えようとする努力がひしひしと伝わってくるものだった。

練習見学も終わり、あとは取材を残すのみになり、私たちのミーティングも白熱していった。

前提として、今現在の最高学年である4年生は2019年度に入学した学生、つまり日大アメフト部タックル問題が起きた2018年の翌年に入学した学生であり、当時の状況を知る人はいない。また、それを受けて監督やコーチ陣も大幅に変わり、まさに今日大アメフト部は「ReStart」している状態である。これを踏まえた上で各自が記事にしたいもの、伝えたい事を考え、取材の質問を考えていく。彼らが今のアメフト部で重視しているものはなにか、変えたいと思っているものはなにか、4年経った今タックル問題をどう考えているのか、などなど溢れ出るアイデアをまとめ、遂に直接取材をする日がやってきた。

アメフト部主将らにインタビュー

今回の取材はキャプテン、タックル問題を起こしたポジションの選手、監督と3回に分けて行った。その中で本稿の筆者が参加したのはキャプテンへの取材。現在の日大アメフト部にはキャプテンが2人おり、その2人共にお話を伺う事が出来た。

キャプテンへの取材

すべてが初体験で緊張し、所々で声が震えてしまうこちら側とは対照的に、キャプテンの2人は堂々と、ハッキリと丁寧にこちらの質問に答えて下さった。その内容はぜひ朝日新聞出版のニュースサイト「AERA dot.」に掲載された記事をご覧いただきたい次第だが、非常に価値あるものだった。

3組の取材が終わり、残すところ試合本番の取材のみ。これまでの取材内容をまとめ、記事の本筋が決まり、試合では足りないピースを埋めていく作業が中心であり、そのうちの一つが写真である。平井記者との定例ミーティングで、日藝OBである朝日新聞出版写真映像部記者(カメラマン)の東川哲也氏を紹介してもらい、スポーツ撮影のポイントを教わるなど、更に事前準備を重ね、試合当日に備えた。

日大 VS 慶應戦 試合の迫力に圧倒される

10月8日、アミノバイタルフィールドで行われる日本大学vs慶應義塾大学。日大アメフト部はここで負けてしまうとグループ優勝が難しくなってしまう大事な一戦であった。

試合開始の1時間前に到着し、撮影の準備を進める。特別に他のメディアカメラマンと同様にグラウンドに降りて選手の近くで写真を撮る許可を頂き、間近で見る事が出来た選手たちの面持ちは、緊張を感じさせつつも凛とした表情を浮かべていた。

試合開始直前、観客だけでなく両大学の応援としてチアリーディングやブラスバンドも揃い会場が静かな熱気に包まれる中、キャプテンが選手たちに集合を掛け、客席にまで届くような大声で檄を飛ばした。選手たちの士気を上げ、最後は円陣を組んで試合に臨む準備を整えていた。こちらも彼らの気合いに答えられるような記事が出来るよう、1プレー、1分1秒を見逃さないように、慣れないカメラを担いだ。

試合開始直前。選手たちを鼓舞するキャプテン

試合は開始直後に日大がタッチダウンを決めたものの、一進一退の攻防の末、23対24で惜敗した。白熱した試合は選手たちを熱くさせ、驚くような激しい接触プレーもあった。勿論、アメフトの世界では常識なのかもしれないが、それでも選手たちの気迫を逃さぬようにと常にカメラを構えていた腕が痛くなる程には、こちらを興奮させるものがそこにはあった。

日大 VS 慶應戦の一幕

記事の完成まであと一歩となった今回の取材。とてもいいものが出来上がる、とそのような予感を感じさせる程のものになったのは、当然全面的に私たちに協力して頂いた日大アメフト部の皆さんのおかげである。

決して簡単な事ではなかったが、直接アポを取り、現場に赴き、取材をするという経験は、今後の活動においても必ずなにか光るものになる、そう確信させるものになったと私は思う。

---完成した記事はこちらをクリック!---

“タックル騒動”から4年日大アメフト部はいま

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