いかに企画を実現させられるのか!?現実と理想の狭間で悩む日藝生 朝日新聞出版「大学対抗!ネットニュース総選挙」参戦記 その2

いかに企画を実現させられるのか!?現実と理想の狭間で悩む日藝生 朝日新聞出版「大学対抗!ネットニュース総選挙」参戦記 その2

朝日新聞出版メディアビジネス部が主催する「大学対抗!ネットニュース総選挙」に参加した日藝チーム(芸術学部文芸学科・小神野真弘ゼミⅢのメンバー)の活動を紹介する連載の第2回。このコンテストでは「私たちのReStart」というテーマが掲げられており、参加チームはこのテーマに沿って記事の企画を考えていく。コロナによって一変した学校生活から私たちは何を学び、これからにどう生かすことができるのか。日藝チームの企画立案の内幕を報告する。(文/若原 千大@「大学対抗!ネットニュース総選挙」日藝チーム)

<過去の記事>

#第1回

“日藝らしい企画”を出すため“日藝らしさ”を考える 朝日新聞出版「大学対抗!ネットニュース総選挙」参戦記 その1

https://cross.art.nihon-u.ac.jp/post/67

#第0回

“大学生記者の甲子園”「大学対抗!ネットニュース総選挙」に日藝チームが参戦

https://cross.art.nihon-u.ac.jp/post/45

「日藝らしさ」についてとことん話し合ったあと、私たち日藝チームはそれらを踏まえて企画を立てる段階へ移った。ネットニュース総選挙のテーマは「私たちのReStart」。まずは各々でアイデアを考え、持ち寄ることとなった。

 7月から8月にかけて行われた企画会議では、数多くの案が出された。休学している大学生事情、就活とタトゥーの関係性、長い自粛生活で整形した大学生の心境、はたまた新理事長・林真理子氏への突撃インタビューなど、日藝生らしい一味違ったパンチのある「それ大丈夫!?」というような案も出された。日藝生の一風変わった視点というものが感じられる。

   

 私たちの考える「ReStart」は、今までの生活を元通りにし、最初からやり直すことではなかった。コロナによって得た気付きを、ポジティブに発信するだけでなく、あまりスポットの当たらない問題や出来事と絡ませて発信すること、それが自分たちのできることなのではないだろうか。

   

 いくつもの案が出揃ったのち、私たちの記事執筆や取材活動のアドバイザー・平井啓子記者(朝日新聞出版)にその案を全て提出した。ここまで来ればアドバイザーが案をいくつかに絞りこみ、発案者がプレゼンし、関係者全員が納得する企画が決定!……するかとおもいきや、そうスムーズには行かなかったのである。    

 抽象的なアイデアを実際に具現化するのが難しい、という現実的な問題に直面したからだ。

 例えば“日藝生の考える採用率100%の就活生とは?”という案では、一般企業の審査員が複数名必要であったり、スーツなどを揃える資金を用意しなければならなかったりと、具体的に形にしていくのが難しいという結論に至った。

 読者が興味を惹きそうな内容でも、それがあまりにも規模が大きければ成立しない。改めて熟考してみると、興味深い企画なのにも関わらず、実行するのは難しい。そんな壁にぶつかった。

 発案者がプレゼンしていく中で、その企画を実行できるのか否か、徐々に露わになっていった。また先ほども挙げた外部協力や資金繰りの他に、写真の制限は5枚、文字数の制限は3,000字という問題もあった。わかりやすく起承転結を伝えられそうな企画、制限文字数に収まりそうな企画かどうかという点も議論された。さまざまな制約がある中で、“日藝生ははみ出し者という自覚があるが、芯が通った価値のある作品を作ろうと独自の視点を持っている”という性格を表そうと、話し合いは続いていった。

   

 結果として、この地道なプロセスから得た気づきや学びは小さくなかった。「ReStart」というテーマについて改めて考えたとき、「立て直し」という解釈もできることを発見した。

 日本大学のスキャンダルがいくつか報じられたことは記憶に新しい。その中でもアメリカンフットボール部のタックル問題は、生徒も大きく関わる事件だった。数年経過したが、日大アメフト部は今一体どうなっているのだろうか。「ReStart」とまさに重なる点があることに気付いた上に、同じ日大に属している私たちであれば、取材も比較的容易ではないかという話が出た。そのため最終的には企画が成立しそうな「日大の学生が考えるスポーツマンシップ」に決定。日大アメリカンフットボール部のタックル問題に切り込みつつ、改めてスポーツマンシップとは何か、日大アメフト部の今後の展望など“自分達は日大生ではなく、日藝生である”という客観的な視点を持った我々が取材するのにふさわしい題材を選んだ。一番頭を悩ませた実現可能か、という点もクリアしている。全国的に話題になった「日大アメフト部タックル問題」を取り上げることによって、読者の興味引き易い。

「デスクに見せたら多くの人がスポーツマンシップに関心がありました。」

決定後、平井記者からの更なる後押しもあり、次のステップへと進むことができた。

   

 アイデアは数多ある、しかし制約もある。自分達で出したアイデアを最後まで回収することができるかどうか。抽象的なアイデアを具現化していくにあたって、現実的な問題にぶつかるというこの体験は非常に貴重であった。特に我々日藝生は、アイデアを出す方が得意としている印象がある。外部からの要望になるべく寄り添えるよう尽力する、応えるというのは、クリエイターにとって必要不可欠なスキルだ。理想と現実をすり合わせていく、という行為は、私たち芸術学部生にとって将来に繋がるだろう。今回の企画会議にて、それを経験することができた。

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“タックル騒動”から4年日大アメフト部はいま

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