ペルソナ 〜消費者心理をつかむデザイン手法〜

皆さんは「ペルソナ」という言葉をご存じでしょうか。
WEBでこの単語を検索すると、アニメにもなったRPGの同名のシリーズタイトルがヒットします。
そのストーリーは主人公が別の人格をもった自分と入れ替わり、降りかかる事件に立ち向かうというストーリーがパラレルワールドのように展開します。
この「ペルソナ(Persona)」は一般的には「登場人物」や「仮面」の意味で使われますが、心理学では「架空の人物像」、「仮面を被った人格」と定義されています。
前述のゲームでも主人公の人格が変わる時に確かに仮面を着けていますね。
実はデザインにおいてもこの「ペルソナ」という言葉がよく登場してきます。
デザイン企画や商品開発を行う際には、その企画や商品・サービスの対象(ターゲット)となる消費者をある程度絞り、その人たちのことを考えてデザインします。
そこでこのターゲットを明確にするために「架空の人物像」を想定して名前や年齢、職業や家族構成、趣味や生活・行動パターンなどのプロフィールを具体的にできるだけリアルに描き、この人物が普段からどのような思いで生活しているのか、
これから開発しようとしている商品やサービスに対してどのような感情を抱くであろうかなど、消費者心理を想像して物語を描くようにキャラクターを設定するのが「ペルソナ」といわれるデザイン手法です。
これにより、消費者の目線でより客観的にデザインを考えることができる、デザインチーム内で消費者像を共通認識しやすく仕事の効率化につながるなどのメリットがあります。
やみくもにデザインするのではなく、想像力を働かせて消費者心理をつかみ、的確にユーザーニーズや行動にヒットする商品や広告を企画・デザインするために、この「ペルソナ」が広く活用されています。
このように小説やアニメと同じくデザインにおいても物語の主人公(ターゲット)や生活シーンなどのシナリオを考えたりすることがよくありますが、そういうことが好きな人はデザイナーに向いているかもしれませんね。

デザイン学科
長瀬 浩明
日本大学芸術学部美術学科インダストリアルデザインコース卒業。東京都立工業技術センター(現 産業技術研究センター)を経て、長野県情報技術試験場、長野県工業技術総合センターの研究員を歴任。2010年から本学デザイン学科の専任教員に就任し現在に至る。人間工学に基づきユーザー志向のものづくりを目指し、福祉用具等の研究開発、人間中心設計、商品企画のフレームワークに関する研究を行う一方、企業や地域との産学官連携による製品開発やブランド開発の支援、プロデュースなどを手掛けている。
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