美術学科
研究者
これは、Nichigei(日藝) Art(アート) Project(プロジェクト=事業)の頭文字をとったワードで通称NAP(ナップ)と呼んでいます。
この事業は、総合的な文化・情報の学科横断的な研究・教育・創作活動の成果を学外との連携を図りつつ、学内外に広く発信することを目的とするものです。教員指導のもと、日芸の学生はもちろん、学外の方も加わり総合的な制作を行っています。
NAPでは、これまでに演劇上演や博物館の企画展示、アートによる自然環境及び地域の再生、練馬区独立60周年記念提携事業等を行ってきました。
今回、この事業の中でも長い歴史をもつ「大地の芸術祭における芸術総合大学の在り方-芸術総合大学における学外からの発信-」について紹介したいと思います。
今から約30年前の1994年、新潟県知事が提唱した広地域活性化政策「ニューにいがた里創プラン」に則り、アートにより地域の魅力を引き出し、交流人口の拡大を図る10カ年計画「越後妻有アートネックレス整備構想」がスタートしました。
その地域活性事業の柱として「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」が2000年に始まりました。以後,3年に1度の大々的な芸術祭を継続して地域から芸術を発信しています。
今から約20年前の2004年、美術学科彫刻コースの学生、卒業生、教員が有志で芸術祭に参加するために応募したことがはじまりです。
2006年の第3回で初めて「大地の芸術祭」への参加が決まり、テーマとして「空き家プロジェクト」が設定されました。空き家をアート作品して再生することで、地域の景観を維持し、記憶と知恵を未来に継承することが目的でした。
本学からは鞍掛純一教授が中心となり、「脱皮する家」と題して空き家の再生に取り組みました。「脱皮する家」は新潟県十日町市にあり、元々は山間の傾斜地が有名な「星峠の棚田」集落にある空き家でした。
築150年になる空き家の床・壁・天井・梁にいたるまで、あらゆるところを彫刻刀で彫り尽くした作品として有名になりました。
当初は美術学科有志として参加していた大地の芸術祭でしたが、世界的な芸術祭に参加するチャンスとして、各領域の個別力と総合力の成果を広く世にアピールしようということになり、日本大学芸術学部8学科の有志が集まっていきました。以後、3年毎に作品を展開し、地域との関わりも深まることになり、現在に至ります。
「脱皮する家」の裏にある空き家を金属の吹き付けにより作品化。
名の由来は金属の吹き付けがコロッケにパン粉をつける様に似ていたこと。
「コロッケハウス」の裏に鉄製の舞台を設置。
峠の祭りや運動会等を行いながら、集落全体を作品化。コミュニティデザインプロジェクトとして制作された。
奴奈川キャンパス(旧奴奈川小学校)のエントランス全体に及ぶ壁面彫刻を施した。
越後妻有地区の里山の森を表現した。
奴奈川キャンパスグラウンドに植えられた桜の木々を抜けるトロッコ。
グラウンドではFC妻有(女子サッカー部)も練習している。
かつて春日山城の支城として活用されていた松代城(まつだいじょう)の最上階に造られた。
漆黒の壁面、彫られた床の独特な空間で静かな時間に思いを巡らせてもらいたい。
次回「大地の芸術祭」は、2024年7月13日(土)~11月10日(日)まで開催されます。
今回は「大地の芸術祭」への取組について概要を掲載しました。
次回は作品について深堀したいと思います。
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