“パソコンの操作ができる”≠“情報に詳しい”

ITに関する国家試験・国家資格

 “情報技術を詳しく知りたい”“すばやくパソコンを操作したい”など、コンピュータについて詳しくなりたいと思っている人がいると思います。しかし、情報の詳しさのレベルについては規定があり、パソコンの操作ができるだけでは詳しいとはいえない状況です。ここでは、規定されているITスキル標準について解説します。

 以前、大学で開講されていた「情報」という授業は、プログラムやワープロの使い方など、パソコンの使い方が主な授業内容でした。しかし、身近にスマートフォンがあり、2020年から小学校のプログラミング教育が必修化、2025年から大学入試共通テストの科目に「情報」が加えられるなど、社会的に求められる知識が様変わりしています。
 情報に関するレベルについては、経済産業省が所管するIPA(情報処理推進機構)が、情報スキルに関する“ものさし”として、ITスキル標準を示しています。ITスキル標準は、7段階にレベル分けがされていて、各レベルで必要とされているスキルやキャリアが、定義されています。
 この中で、レベル1に対応した国家試験として、ITパスポート試験が実施されています。この試験は、非常に出題範囲が広い試験となっており、IT系技術者だけでなく、その他の職種の人も受験しています。出題範囲としては、企業と法務、経営戦略といった項目もあり、情報に関する試験からはイメージされないような内容も、問われる内容となっています。
 情報に関連するさまざまな知識を幅広く学修することが必要である現在において、パソコンの操作ができても、“情報に詳しい”とは評価されないことから、大学の「情報」に関する授業は、幅広い知識を学ぶ内容に変わっています。

*1)情報処理学会一般情報教育委員会

芸術教養課程
山本 守和
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