陰キャのチカラ

みなさん、陰キャというとどんな人を思い浮かべるでしょうか?

暗くて人付き合いが苦手、とかオタクなイメージ、が強いかもしれません。さらに陰キャ度が高い人は現実世界で生きづらさを感じている人もいるかもしれません。
しかしながら、アートの分野では、陰キャは強みになります。なぜならば、アートの世界では、人と同じことをしていては埋もれてしまい、なかなか評価してもらえない分野なので、強い個性が必要となってくるからです。陰キャの人は独自の世界観を持っている人も多く、アート向きである、と言えると思います。

そんな強い個性を持った芸術家で、皆さんが思い浮かべる人というと、見た目のファッションやメイクなどが奇抜で、一見陽キャのように見える現代アーティストが多いかもしれません。しかし、彼らはその鋭敏な感受性で捉えた事象や感情を、作品で表現するだけでなく、その世界を自ら体現しているので、見た目と裏腹に、実は性格はとてもシャイだったり、実際は陰キャな人も多いのです。
また、昔で言うと、太宰治、芥川龍之介を始めとする、素晴らしい作品を遺した多くの文豪も、陰キャだったと考えられますし、巨匠画家も然りです。なので、自然と美術学科や文芸学科が思い浮かぶかもしれませんが、私の所属する音楽学科も個性的な陰キャの人たちがたくさん学んでいる学科の一つです。相対的に一人で創作、作業する時間の多い分野ほど陰キャ率は上がっていく傾向にあります。
昔から、団体で作り上げるオペラのある声楽コースや、オーケストラのある弦管打楽コースは陽キャが多い、反対に、一人でコツコツと缶詰になって作り上げる作曲コース、一人での練習時間の多いピアノは、前述した様な孤高の芸術家タイプが多い、と言われてきました。しかしながら、最近はそうしたイメージに縛られない、多種多様なキャラクターを持った陰キャの学生さんが様々なコースで学び、自分だけの世界を探求していると感じます。

日芸音楽学科では、他コースや他学科と交流しながら、陰キャの人も陽キャの人も、誰もが自分の強みを生かしつつ学び、発表する機会がたくさん設けられています。皆さんも日芸で唯一無二のアーティストになりましょう!

音楽学科
脇岡洋平
日本大学芸術学部音楽学科准教授。東京芸術大学附属音楽高校を経て東京芸術大学音楽学部を卒業後、渡独。在学時より国内や海外の国際コンクールに多数入賞。帰国後はソロだけではなく、室内楽、ピアノデュオ、落語家や学者とのコラボレーションなど、幅広い活動をおこなう。基本的に好き嫌い無く、どの作曲家の作品も好きだが、特に好んで演奏する作曲家はバッハ、ヘンデル、リスト、ラフマニノフ。
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