ゲームクリエイターという仕事がありますが、あれは世界の創造者と言っていいでしょう。
ゲームには必ずルールがあります。人を縛るためのルールではなく、誰かと共に遊ぶためのルール。ルールを共有するということは、その世界で共に過ごすことにほかなりません。
しかもそれは、現実世界とは異なる、もうひとつの世界。新しい世界を創造して、人々を誘い込む。これは演劇が最も古くから取り組み、最も得意とする営みです。
最近お兄ちゃんがやってる難しそうなゲーム、転校した学校ではやってる遊び、オリンピックでたまたま目にした知らない競技、お父さんが夜いつもお酒を飲みながらテレビで見ている、棒で小さな球をひっぱたいては四角いマスを走り回って戻ってくる謎のスポーツ…。ルールのわからないゲームを見るときの感じは、演劇を観るときの感じに似ています。
演劇を観るとき、人は「その世界を支配しているルールは何なのか?」をたぐり寄せながら舞台に対峙するのです。それはとりもなおさず、「この世界は何なのか?」という宇宙的な問いへと発展します。
ゲームを作って、ゲームで遊ぶ。それは演劇を創ることとまったく同じ。頭にヘッドマウントディスプレーを装着しなくても、いつでもログイン、全身で没入するのが演劇というゲームです。
実際、演劇には「シアターゲーム」というものがあるのです。ウォームアップにシアターゲームをすることもあれば、台本を深く読むためにシアターゲームを用いることもある。ゲームを通じて人と人はつながりをもち、共に架空の世界を作り出そうと冒険へくり出します。
演劇学科では、授業で何十種類ものゲームを体験することができます。そのすべてに共通すること。それは、ゲームは、演劇は、「楽しい」ということです。
関連授業:演技演習・演技実習Ⅰ
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