みんなが見ている映像も合成されている?

テレビコマーシャルの裏側を教えちゃいます。

皆さんは広告と聞いてどんなことを思い浮かべますか?
一口に広告と言っても多種多様なイメージがあると思います。
日藝には広告の授業は多くありますが、広告と名のつかない授業でも広告と結びついている事例を紹介します。
この記事を書いている筆者は映画学科の専任教員ですが、前職では広告、主にテレビコマーシャルの撮影者(カメラマン)をしていました。今でも時々、皆さんが見たことがあるテレビコマーシャルの撮影をしています(今回は撮影のことがメインです)。
撮影の業界では少しの違いはあるけれど、映画もコマーシャルもプロモーションもミュージックビデオも撮影の基本は大きく変わりません。昔から映画も広告も同じような撮影機材を使用してきました。
今は技術の進歩で多種多様な記録フォーマットの選択ができますが、デジタルカメラが開発される前は撮影はフイルムカメラで行っていました。
日藝(現状は映画学科 撮影録音コース)ではデジタルシネマカメラはもちろんのこと、フイルムカメラを使用して実習を行います。


そしてなんと言っても動画用のフイルムの現像機があります。これは世界でも珍しく、日本の教育研究機関ではここにしかないものなのです。撮影の基本をフイルムカメラで学ぶことで、複雑になりがちなデジタルシネマカメラを使用しての作品作りもすんなりと理解できるようになります。


さて、広告(主にテレビコマーシャル)は以前から合成処理を前提に作られる映像が多くありました。
この写真のようにブルーやグリーンの幕の前で演技をし、それをポストプロダクション(撮影後の作業のこと)で背景と合成するのです。


皆さんが見ている広告も合成されて作られているかもしれません。
映画技術Ⅲという授業では1年生のときに学んできた基礎的な知識をもとに実際の撮影実習を通じて、1年次より高度な知識を学んでいきます。そのなかの一部にグリーンバックやブルーバックを利用しての合成の授業もあります。
可能な限り、ライブで撮影するほうが感情を伝えるにはいい場合もありますが、合成をしないと撮れないシチュエーションもあります。さまざまな状況のなかで判断をする選択肢の一つとして知っておくことが大切です。

合成の技術は新型コロナウイルスの影響でオンライン配信が増えた今では身近な技術になってきました。
しかし、実写と合成の見分けがつかないくらい精度の高い映像を作るには光の考え方や背景映像とブルーバックの前で撮影するカメラの高さや角度、レンズのミリ数の考え方が大切です。

技術の進歩は凄まじく、今はインカメラVFXという技術を使用した合成も使われるようになってきました。
この話はまた別の機会で…

映画学科だから映画のことしか学ばないのは今の時代にマッチしません。
多種多様な人材や研究、授業を行っている日藝でいろいろなことを学びませんか?

映画学科
穴澤勇樹
映画学科 専任講師
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