高校生の皆さんこんにちは、日藝准教授の加藤です!
日藝の学生たちは、各学科で専門技術を学び、多様なスキルを身につけています。そして、8学科の学生が一堂に会し、シナジーが起こった時、驚くようなクリエイションが生まれることがあります。
私たちは、そんな学生たちのクリエイションを社会に繋げるために、さまざまな授業を展開しています。
その中でも、特に特徴的な授業が「連携型プロジェクト -日藝ST-ART-UP-」です。この授業は、令和6年度にスタートしました。テレビ朝日、幻冬舎、サイバーエージェントの若手実務家3名と、私たち日藝の教員(芸術教養課程 准教授:加藤、デザイン学科 専任講師:片桐、芸術教養課程 助手:宮武)が力を合わせ、新たな試みとしてスタートしたものです。26名の学生たちが、事前課題により選抜され、このプロジェクトに参加しました。
それでは、「連携型プロジェクト -日藝ST-ART-UP-」の様子を紹介していきます。
1.授業の目的
この授業の目的は、日藝のクリエイションと企業がシナジーを生み出し、新しいビジネスを共創することにあります。タイトル「ST-ART-UP」の中央に「ART」があるのは偶然ではありません。アートを核としたビジネス創造を目指しているからです。
※具体的には、「企業保有IP、リソースを生かした新規メディア/コンテンツ・ビジネスの基本設計、そして現有ビジネスを拡張するためのプロモーションやマーケティング手法を共同創造する」(シラバスより)ことが目的です。
2.授業のポイント
今回の授業で一番重視したのは、「産学の距離を極限まで近づける」ことです。産学講師5名が一つのチームとなり、最新のケース・スタディを提供し、学生たちと共にグループワークを進めました。講師が学生の伴走者となり、リアルなビジネス創造の現場を共有することを目指しました。
3.日藝ならではの産学連携
まず大事にしたのは、「講師同士の連携」です。産学講師5名は、授業スタートの半年以上前から議論を重ね、カリキュラムを設計しました。授業開始後も、学生の状況に応じて授業をアジャイルに(変化を続けながら)アップデートしていきました。授業自体が進化していく過程は、まさに日藝ならではの創造性と連携の成果です。
4.産学講師が一緒に「伴走」
この授業のもう一つの大きな特徴は、「伴走」です。講師は一方的に教えるのではなく、学生たちと目線を合わせて進行します。レクチャーの内容も学生の意見を取り入れながら進め、グループワークでは同じチームのメンバーとしてアドバイスを行います。最後の企画立案では、講師もチームの一員として参加し、まさに「伴走」と「共創」の姿勢を貫きました。
5.コミュニケーションデザイン
企業のコミュニケーションデザインを積極的に取り入れました。
(1)Slackの導入で「同期から非同期へ」
授業時間だけが学びの場ではありません。レクチャーやグループワーク、雑談から発信された情報(事例、推薦図書、サイトなど)はすべてSlackにアーカイブしています。学生たちは、授業外の時間でもSlackで活発にコミュニケーションを取り、参加できなかったメンバーも素早くキャッチアップ(追いつくことが)できる仕組みを作り上げました。
(2)Podcastの活用
耳からのインプットが主流になりつつある現代に合わせ、毎回のフィードバックをPodcastで行いました。公開日にすぐ聞く学生、授業前に聞く学生、それぞれのライフスタイルに合わせて情報を得られるよう工夫しました。
6.最終プレゼンへの挑戦
さて、本授業の目的に立ち返ると
「企業保有IP、リソースを生かした新規メディア/コンテンツ・ビジネスの基本設計、また、現有ビジネスを拡張するためのプロモーションおよびマーケティングに関する手法を共同創造していく」(シラバスより)。でした。
様々なレクチャ、プレ・グループワークを終えた学生は、終盤に企業からポンっと下記を渡されたのです。期限は2週間。
授業レポート②に続く
※レポート②ではプレゼンの様子や教育効果について述べたいと思います。
レポート② 授業:連携型プロジェクト -日藝ST-ART-UP- -産学連携による共創の一つの形-②
最後に、
企業講師は日藝出身
今回の企業講師3名のうち2名は日藝出身、1名は日藝での登壇経験があります。だからこそ、学生たちの特性を深く理解し、効果的なカリキュラム設計と授業運営が実現しました。日藝出身者の「日藝に還元したい」という熱い思いが、この授業の大きな原動力となっています。
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