ー 当時を振り返り、日本大学芸術学部へ入学された動機など、教えてください。
中学生時代からの趣味である、日常風景の撮影が好きだった事がきっかけでした。その当時は漠然とした想いで「好きなことを続けていきたい」としか考えていませんでした。しかし、高校生時代に入り写真部を立ち上げたり一眼レフを手に入れたりと、本格的に写真と向き合うようになり、いつしか大学でも写真を学びたいと考えた事が最終的な動機でした。
ー 学生時代はどのようなことを専門に学ばれていましたか。また、学生時代はどのようなことに打ち込まれていましたか。
自身の作品づくりに打ち込んだ学生時代だったと思います。大学に入ってからは写真の「テーマ」を決めて、それに沿う形で尚且つ自分の中で納得のいく作品を創造することに励んでいました。
時には何も思い浮かばず、焦りを感じる時もありましたが、その時の気持ちすらも作品に反映するつもりで、学生時代を過ごしていたと思います。
ー 学生時代に印象に残っている授業科目や課外活動などはございましたか。
写真学科の科目ではなく、一般教養で「人間の心理」という科目が強く印象に残っています。この科目では日藝がいかに「芸術学部」であるかを考えさせられた授業でした。日藝は専門的な知識を学ぶ場でもあるのですが、幅広い分野から自身の感性に影響を与えてくれるものを探す場でもありました。そのため、人の心に直接作用する心理学を学ぶことは、写真の分野に囚われず、自由な発想力を持つ自信を与えてくれた科目でした。
ー 日藝に入る前のイメージと、入学後、卒業後のイメージにギャップはありましたか。
大きくギャップに感じる部分はありませんでしたが、ひとつだけ挙げるとするならば、同じ熱量で芸術学部を楽しめる仲間や先生方・環境があるという事です。私の中での芸術学部のイメージでは、一人ひとりが孤高に作品と向き合い続けるというものでした。しかし実際はその考えや意見を語り合えたり、作品に反映したり、まったく関係ない私生活での物事の捉え方などにも相互的に影響し合える人たちが沢山いると思った事が、小さくも感じたギャップです。
ー 学生時代に抱いていた「こうなりたい、こんなことをしたい」という「夢」について教えてください。
大学1・2年生の時は、フォトグラファーやフリーの写真家になるという漠然とした夢がありました。しかし大学3・4年生になると就職というものが身近になり、改めて自身が何をしたいのか考える機会が増えました。その頃になると写真という分野に縛られず、芸術学部で学んだ「感性」を活かしたいと考えるようになりました。
ー 現在のお仕事に就かれた理由や動機などを教えてください。
やはり、自身の感性を活かした仕事をしたいと思った事とキャラクターというものが昔から好きだった事が大きな理由だったと思います。見るものに影響を与えてくれるキャラクター商品の製造側に立ち、大学で培った感性を活かし、今度は自分が誰かの感性に影響を与えていきたいと思った事が動機になったと思います。
ー 現在のお仕事の内容ややりがい、こんな形で社会とつながっている、といった紹介をお願いします。
現在は文具を中心に、キャラクター商品の製造・商品化する為の管理などを行なっています。モノづくりの舞台裏といったイメージになるかもしれませんが、ストアなどで実際に商品を手に取ってもらえた場面を見かけると、自身が携わったアイテムが社会の中で見てもらえているという実感が湧きます。
ー 現在のお仕事で「日藝」時代の学びや経験から得られた能力などがあれば教えてください。
現在の仕事のみならず、色々な場面で言える事かもしれませんが、人の動きや状況をみて自分なりに適切な行動をとれるかは、どんな仕事をする上でも大事だと思います。小さな行動(気遣い)だったとしても、欠かせない能力になると信じています。だからこそ、日藝で学んだ幅広い分野からの影響は、幅広い環境から些細でも何かを感じ取る能力になるのではないかと思います。
ー 現在のお仕事を進める中で日藝を出て、良かったと感じるエピソードなど、ございましたら紹介ください。
商品を製造する過程で、アイテムに印刷をすることが多くあります。その際に日藝で、特に写真学科で学んだ「印刷の種類」などは「聞いた事がある」程度でも認知できるものとして活用出来たことがあったのは、とても良い事だと思いました。 実際に仕事に関わる事でなくとも、会話の中などで当時学んだ内容を思い出す場面は多いという事は、それだけ日藝で学んだ事が活かせているのだと思っています。
ー これから受験を考えている高校生に、日藝をお勧めする(としたら)一言をお願いします。
今取り組んでいる分野をとことん突き詰めたいと思っていて、それがもし少しでも芸術に当てはまると感じたのであれば、是非興味をもって日藝を覗いてみて下さい。きっと魅力的な環境があなたを待っていますので、今後ともご自身の趣味・興味を大切に、自信を持って取り組み続けてほしいと思います。
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