授業風景

録音経験ゼロからプロを生み出すコースの実態

撮影録音コースの録音担当者は、クリエイター・エンジニアとして、作品内のすべてのサウンドに関する責任をもつという立場にあるという意識を持ち、企画・演出意図を簡潔に理解し、制作準備から完成・上映までの責務を果たすこと、としています。
劇場公開される映画のサウンドにおいて、現場録音技師兼ダビングミキサー、効果技師、映画音楽家、音楽ミキサー、スタジオオペレーター、時には別のダビングミキサーなど、分業が一般的ですが、映画学科の学生はすべての「サウンド」を担当します。

大学入学までに放送部や映画研究会に所属していた学生は少人数いますが、ほとんどが制作経験のない学生です。ただ、「映画が好き」という共通点をもっています。特に「あの映画の迫力あるサウンドが好きだ」とか、「あの映画音楽が大好き」など今まで鑑賞した映画にはさまざまな思い出をもっているようです。
一から技術を勉強するとなると意外なこともあるでしょう。どうしたら音が録れるのか、どうしてこんな音になるのか、何でこの音は不快なのか。一つずつ経験をして次に進んでゆきます。ここでいう次に進む、とは自分の携わるサウンドをさらに突き詰めてゆくということかもしれません。

複数の授業を通して、準備、撮影(同時録音)、アフレコ、音楽録音、DAWを使用したサウンド仕込み、ダビング(すべての音をミックスする作業)を経験してゆきます。上級生になると、自分の好みのサウンドが見えてきて、機材選定も個人差が出てきます。
4年次卒業制作では、監督、撮影監督、俳優、それに携わるスタッフ全員と連携をし、チームは一本の作品を完成させます。その制作に携わる録音専攻の学生に対し、それぞれの録音担当者として制作着手前に「録音設計」の作成および提出後、担当指導師からの指導を義務づけています。映画学科の「録音設計」とは、録音担当者として総体的にどのような作品を目指しているのか、各シーン、カットごとの細かな録音計画、具体的な機材の選定、上映媒体のフォーマットが記述され、それに伴う実験、研究結果のデータを添付したものです。作品にどのように取り組むのかを考え、観客の心に残るサウンドを届けるまで日々努力しています。

<授業風景>

映画学科
上倉 泉
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