声楽コースの教師である私が「お笑い」というテーマで文章を書く…?

声楽コースの教師である私が「お笑い」というテーマで文章を書く…? 声楽とM‐1と何の関係があるの? と思われた方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?前回「恋愛」についてというテーマの時、オペラで悲劇のヒロインを演じていたなんて言ってたじゃない、「お笑い」なんて関係ないでしょと思われたのではないでしょうか?

まあ、前回全部読んで下さった方はオペラには喜劇もあったんだっけ、それがお笑いなんだとわかってくださった方もいらっしゃるでしょう。日芸オペラは喜劇ばかり上演していて、喜劇は演じている本人が一番楽しいと書きました。覚えていてくださる方もいらっしゃると思います。

オペラにはオペラ・セリアと呼ばれる悲劇と、オペラ・ブッファと呼ばれる喜劇があり、オペラ・ブッファは歴史的には幕間に上演された一幕物から始まり、時代を経て、三幕物のオペラセリアと同等の物となったと言っても良いでしょうか。幕間のオペラ・ブッファには色々な決まり事があり、それはたぶんM-1にも決まりがあるのと同じです。オペラ・ブッファは声域の低いバスの歌手がだいたい貴族役で、コミカルな役が高い声でその貴族に仕える家来役というパターンが多かったり、あらすじが一日で完結しなければならなかったりします。もちろん時代を経て変化していくのですが…。

悲劇を観るのは疲れる、人が死んでしまう悲劇より楽しいオペラが好きだとおっしゃる方、是非オペラ・ブッファを観てみてください。典型的なオペラ・ブッファはペルゴレージの「奥様女中」というオペラですが、その他にもモーツァルトの「フィガロの結婚」「コジ・ファン・トゥッテ」や昨年日芸オペラで上演した「秘密の結婚」もオペラ・ブッファです。ドニゼッティの「ドン・パスクアーレ」やオペラの神様ヴェルディの「ファルスタッフ」もオペラ・ブッファです。

どうぞ皆様、日芸オペラのYouTubeから学生たちのオペラ・ブッファをのぞいてみて頂き、おもしろそうかもと思われたら、ドニゼッティやヴェルディのオペラ・ブッファを観てみてください。

笑うことは人生において素晴らしいことです!

【ダイジェスト版】日本大学芸術学部音楽学科 第51回オペラ公演「フィガロの結婚」

https://www.youtube.com/watch?v=aCbb-mvFi4w

音楽学科
斉田正子
日本大学芸術学部音楽学科教授。ミラノに留学。藤原歌劇団「椿姫」のヴィオレッタにてオペラデビュー。専門はベルカントオペラで国内外の国際音楽コンクールに上位入賞。日本オペラ振興会正団員。日本演奏連盟会員。経団連国際教育交流財団評議員。
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