日本大学校友会会報誌「桜縁」掲載特集 卒業生インタビュー 株式会社リトプラ代表取締役/CEO 後藤貴史氏 ~ヒットメーカー~

株式会社リトプラ 代表取締役/CEO 後藤貴文氏

デジタル×リアルの融合で
子ども心をつかむ次世代テーマパーク

累計来場者数は100万人超! 大型商業施設を中心に全国10店舗を展開する「リトルプラネット」は、
探究心や創造力を育むアトラクションが満載の屋内遊戯施設。
ヒットの仕掛け人である株式会社リトプラCEO後藤貴史さんが目指すものとは。

遊びが学びに変わる
魅力的なコンテンツ

砂を盛ると緑豊かな山ができ、砂を掘ると水が流れて川になる。山や川、海には、そこで暮らす生き物が現れる。これが「リトルプラネット」の人気アトラクション「SAND PARTY!」で体験できる砂遊びだ。AR(拡張現実)技術を使ったこの砂場は、深度センサーで砂の高さを検知し、その形状に合わせた映像を投影することで地形が変化していく仕組み。生き物に虫眼鏡をかざすと名前が分かり、魔法のステッキを使うと宝の在りかを教えてくれる。楽しく遊ぶうちに好奇心が刺激され、子どもたちの目はキラキラしている。
 他にも、乗り物をデザインして走らせる「お絵かき3Dレーシング」など、充実したコンテンツについて後藤さんはこう話す。
 「コンセプトは『遊びが学びに変わる』です。アトラクションを開発する際は、インプットとアウトプットに組み込むアナログとデジタルのバランスを意識しています。例えばAR砂遊びでは、砂を触るインプットはアナログですが、出力される映像はデジタルです。また、各コンテンツには、体感・探求・思考・創造・交流という5つのエクスペリエンス(体験)を紐付けて、必ずどれかが当てはまるようにしています」
 ボールプールでは体感と交流、AR砂遊びでは探求と創造といったように、体験による感動や学びを通じて子どもたちの可能性を広げるのが狙いだ。学校教育でも主体的に学ぶ力が重視される昨今「親が子どもを連れて行きたい場所」としても支持されている。
 2018年に1号店を開業し、現在は10店舗を展開。期間限定イベントも多数手掛け開催地は全国に及ぶが、コンテンツの管理は本社で一括して行っている。
「ソフトウェアを提供しているので、非常に簡単にアップデートできることが最大の強みです。季節ごとにコンテンツを変えることも、全店舗一斉に行えます」

ここがHIT!

公園のように楽しんでほしいとの思いから、各アトラクションには遊び方の詳しい説明書きがない。利用者間でコミュニケーションが生まれたり、自然に順番待ちや譲り合いを学んだりする場になってほしいという意図もある。また、大人も一緒に楽しんでもらうために、あえて座れる場所も少なくしているという

AR砂遊び「SAND PARTY!」
デジタルいきもの探し「DISCOVERY GARDEN」
お絵描き3Dレーシング「SKETCH RACING」

家族に向けた新しい
カルチャーを提供するのが目標です

気になる情報はメモアプリ「Evernote」に蓄積。唯一の必需品だそう

学生起業家、そして
スタートアップへの道

後藤さんの職歴は、本学在学中にさかのぼる。
幼い頃から映画や漫画が好きで「自分の手で人に感動を与えられる事業に関わりたい」と考えていた後藤さんは、3年生になると起業の道を模索し始めた。「やるんだったらリスクが少ない今のうちだ」。在学中に出資者を見つけ、モバイルアプリの開発会社を起業。卒業と同時に社長に就任した。当初はうまくいかず「4回は会社がつぶれかけた」が、起死回生の一手として手掛けたモバイルゲームが大ヒット。瞬く間に社員300人を抱える企業に成長した。
その後も、ソーシャルゲームや他社に先駆けたスマホゲームの開発で躍進。グリー株式会社の子会社となり安定した日々を送っていたが、ある日、VRゴーグルを体験して世界が変わった。
 「恐竜が奥から向かってくるだけの演出だったんですが、初めて装着した時の衝撃がすごすぎて。こんなふうに新しい体験を作り出し、その価値を届ける場を作りたいと考え始めたんです」
 こうして2016年、前職を退職し、新たにテーマパークを作るための会社を創業した。
 「リアル空間にデジタルアトラクションを作ることは決めていましたが、不動産会社との出店交渉や内装工事、安全管理、オペレーションの問題など、経験のないことを一からやらなければならないのが本当に大変でした」
 それでも失敗と学びを繰り返しながら、1年後に期間限定店舗をオープンすると大好評。次々と出店が決まった。
2020年にはコロナ禍で休業を余儀なくされ、会社存続の危機にも陥ったが「4回つぶれかけた前職を思うとまだ大丈夫と思えた」という不屈の起業家魂で乗り切り、2022年の収益は2019年比プラスとなった。
 「ようやくここまで来たので、今後は攻めに転じます」という言葉通り、国内の店舗増に加え、アジアを中心とした海外展開にも着手。新たなオンラインサービスも始動している。
 「学生で起業した時は周囲に反対されましたし、就職する友達を見て後ろめたさも感じましたが、今は良かったと思っています。学生の皆さんも、今やりたいと思うことがあるならしがらみを気にせず、自分の気持ちに正直に進んでほしいなと思います」

VR(仮想現実)技術を活用した、トヨタ自動車「L.C.HUB」チームとのコラボコンテンツ「LEXUS SPRAY PAINTING」。
スプレー缶型の装置を使って、車体を自由にペイントする斬新な企画。他企業との共創事業も増えている

恐竜フィギュアを置くと特別な演出が出現するアトラクションも


株式会社リトプラ


東京都港区台場2-3-1 トレードピアお台場9階
「アソビでミライをつくる」というミッションを掲げ、ファミリー向けテーマパーク「リトルプラネット」を主力とした、さまざまな体験型コンテンツを開発。2022年11月に株式会社プレースホルダから株式会社リトプラに社名を変更。

※日本大学校友会会報誌「桜縁」デジタル版のバックナンバーはこちらからご覧いただけます。
2008年芸術学部映画学科卒業
Takafumi GOTO
在学中の2007年株式会社ポケラボ創業。ゲーム事業を中心に従業員数300名規模に事業を拡大。2011年代表を退任・交代し、新規事業としてスマートフォンゲーム事業を立ち上げ。2012年グリー株式会社と戦略的業務提携、グリーの完全子会社となる。2016年ポケラボを退職、同年株式会社プレースホルダ(現 株式会社リトプラ)創業。
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