産官学連携プロジェクト「板橋スタンダード」制作 座談会

芸術学部では産官学連携プロジェクトという授業とは別にさまざまな地方自治体企業や民間企業などと連携しプロジェクトを進めています。

若きクリエーターたちにとって、実社会の課題に取り組む機会はかけがえのない経験になります。

その中の1つ、板橋区との連携で令和5年11月1日に施行された「板橋区パートナーシップ宣誓制度」における広報動画を制作しました。

動画の制作ということで今回は主に映画学科の学生を主体に集まって動画を作りましたが、日藝のさまざまな人の力を合わせています。

今日は不動産編で使わせてもらった撮影ロケ地の1つ西棟地下の美術学科 彫刻コースの活動場所に集まって、座談会を行いました(撮影にも立ち会ってくれた鞍掛先生の研究室で)

映画学科  半田 恭一(医療編演出)(撮影時3年生)

板橋スタンダードの動画を制作してみてどうでしたか?

半田: 自主制作でやっているような自分の表現したいことができる映像制作や授業で学んでいる映画とは違い「求められているものをクライアントと調整しながら作る」というクリエイティブの作業は今まで経験してこなかった事だったので、その新鮮さを楽しみながら行うことができました。

・ロケ撮影について(医学部の校舎と日本大学医学部附属板橋病院)

半田: 自分達のフィールドでなく、時間にも限りのある環境で進めていく撮影だったので焦りはありましたが、先生がカメラマンで入ってくださったので、いつもよりも演出に集中できた感覚がありました、こういう経験ができたので今準備している卒業制作でもロケやロケセットでの撮影があるのですが、うまくできるような気がします。

その卒業制作ではロケ地の1つとして日本大学医学部板橋病院と交渉させてもらって撮影できることになりました。

・学科以外の人と関わって

半田: 前提知識が違うので伝え方を色々考えたりして少し大変でしたが、普段一緒に撮影している人とは違う環境だったので新鮮な刺激をたくさん貰えました。

・特に印象に残ったこと

半田: やっぱり自主映画的な「作りたいものを作る」以外のクライアントワークにも楽しさを見いだせたというところが今回の一番印象に残ったことです。やりたいことだけしかやらないという人生も良いかもしれませんが、いろいろな経験が今後活きてくると思います。

また、自分は「こなせるタイプ」なんだという自信がつきました。

・今後どうしたいですか

半田: 映像演出でご飯を食べていきたいと考えているので、こういった経験を活かして、映画だけでなくCMやプロモーションの仕事も経験していきたいです。

・後輩や受験生に向けて

半田: 技術や知識を学ぶだけでなく、相手がいる映像制作という経験を積むことができるのが日藝のメリットだと思います。もちろん学科での専門科目をしっかり学ぶことはとても大切ですが、「日藝にいる」という環境を活かして他学科と交流することでより掴める物だと思うので、より学科を超えた活動が今後もっと活発になるといいなぁと思っています。

・経験になったこと、大変だったこと

半田: 映像を作ったことのない人は制作の大変さやかかる費用、時間などは分からないので、無意識的に無理なことをいうことがあるし、その割に組織が大きいとレスポンスが遅いので、おおらかな気持ちと、「これはできない!」とはっきり言える肝っ玉を持つことが、こういう仕事をするうえで大切だと気づけたのが、一番の経験ですね。

演劇学科  森田愛子 (撮影時3年生)

森田: 自分が今まで使ったことのない施設(録音スタジオ)で録音できたのが楽しかった。

森田: 区の映像なので、自主制作でわいわい行う映像とは違う、ある意味仕事に近い緊張感を持って臨む経験ができたかなぁ。

自主制作ではなく、公共の作品に出演できて映像として残すことができたというのはやっぱり嬉しかったです。大学で作ったものは基本的には大学関係者やその周辺にしか広がらないけれど、今回の動画は区のHPにアップされていて、区役所のモニターでも流れていているので、多くの人に観てもらえるし、自分が観た時は感動しました。

演劇はやはりライブの感覚が強いものなので

演劇だけでは学ぶことのない映像の視点、みたいなものの片鱗を知ることができて表現者としての幅も広がった気がします。

大学院 芸術学研究科 造形芸術専攻 地域芸術分野

赤井 里佳子

赤井:私は制作には参加していませんが、今日参加した学生さんと話してみて、こういう経験から社会に実際に出て働くとか、実際に作るイメージができたのかなと思いました。

こういう機会でしか自分が学んできたことと実際に作ることのつながりは学べないと思うので、あるべき学びの場の一つだと思いました。

今後、もっとこういう場が増えたら良いと思います。

鞍掛:制作を通して一つになり、学科を超えた交流の場が自然と出来ているのが、関わった教員も嬉しいと思う。

写真学科  髙橋向日葵 (撮影時3年生)

髙橋: 私は写真学科でポスターの撮影を担当しました。

今回のような動画の合間での撮影が初めてだし、しかも動画チームのスタッフのみなさんとも初めましてだったので、実は最初は緊張していました、でも結果とても楽しくできました

今回の撮影は板橋区でのロケーション撮影だったのですが、初めて行く場所だったし、短い時間でいいロケーションを見つけるのに苦労しました。

撮影中に地元の子供が「僕も写りたい!」と言ってきたことが一番印象に残っています。写真撮ったときに背景に入れてもらえて嬉しそうだった。

私は研究活動のフィールドワークで地方に行って闘牛の写真を撮っていて、それこそ最初は牛を撮りに行っていたんだけど、そこに通ううちに地元の人や闘牛に関わる人の人柄のようなものが見える写真を撮ることが好きなんだなと最近思うようになりました。猫の写真もずっと撮っていて、子供も含めて動物など完全に予測できないものをどう捉えるかというテーマがある気がします。

そういう意味では今回の撮影は大変だったけどやり甲斐あったかな

・学科以外の人たちと関わる経験だったと思いますが、どうでしたか?

髙橋: 同じ学部で一緒のキャンパスで学んでいるけれど、普段一緒に活動していない映画学科の撮影風景を見ることができ、新鮮だった。

・今後どうしていきたいですか?

髙橋: 楽しいと思えることを仕事にしたいです。

・後輩や受験生に向けて。

髙橋: 楽しいを続けることって大切

・やってみて経験になったことがあれば

髙橋: 自分が撮影した写真が区のポスターになるなんてなかなかない経験をさせてもらえた。これはとても嬉しいこと。その反面

ラフがないまま自分が撮りたい写真を撮ってと言われたことが大変だったし、焦った。

穴澤: 伝え方が雑でごめんなさい。 みんなにはなるべく自分のやりたいようにやってもらいたかったんだけど、区との調整でどうしてもできないことだったり、変更を求められることも多くて。ポスターはそういった縛りが少ないと思ったので自由にやって良いよってつもりだったんだけど。なんでもOKより少しでも条件があった方が実は考えやすいんだよね。

映画学科  片峯綾乃

片峯: 私はこのプロジェクトに参加して多くの人に関わることが出来てとても良かったです。自分が普段お世話になっている先生や仲間だけでなく、他学科の先生や生徒と関わり、苦労を分かちあったり、撮影を楽しんだりすることが出来ました。

学んでいるのは映画学科の監督コースで、今、卒業制作を作っている最中です。その前にロケ先で撮影する機会があったことはとてもいい経験になりました。申請等先生に手伝って頂きましたが、撮影本番では、ロケ先でチームをまとめるのは自分自身だったので、緊張感もありつつ、仲間と楽しみつつ、いい経験でした。

撮影では、映像だけでなくポスターの為に写真を撮ることもしました。どちらも素敵な作品になって良かったです。

片峯: 自分のやりたいことがこのような企画で映像化出来たことがとても嬉しいです。プロジェクトなのでもちもん100%自由が聞くわけでなく、企画の意図することも達成しなければなりませんが、私はその中でやりたいことが出来たと思います。完成した映像が、努力が無駄にならない良い作品になって本当に良かったです。

穴澤: 本当、色々ありましたね。お疲れ様でした。

片峯: 撮影現場では映画学科の人たちもいましたが、中には映画に初めて関わる学科の人もいました。映画の基本的な事から説明してあげて、コミュニケーションを重ねて作品に向き合いました。みんなの個性が楽しい現場でした。

普段はキャンバスが白紙の状態から自分で企画をして映画を作ることを学んでいますが、このような場で予め少しキャンバスに何か絵が描いてある所から作品を完成させる体験をして、自分がどっちが好きで、どっちが上手くいくのか、比較して知ることが出来ました。

今後も映画や映像に関わり、作品を生み出していきたいです。

後輩や受験生に向けて

片峯: 私は個性たっぷりの日藝で、凄く楽しい大学生活を過ごしていますが、ずっと自分自身に個性はないと思っていました。だけど、自分では気づけない個性が人には必ずあるみたいで、仲間や先生が伝えてくれる喜びがあります。みんなが自分自身の好きなことや興味があることに真っ直ぐに進む姿やその作品を、いつも楽しみにしてます。

学生さんの話を聞いていると、社会と関わって何か一緒にやるということはもちろん良い経験だし、それが形になって発表の場所があって、制作の実績になっていく。終わったら次はどうしようと考えるきっかけになるし、受け身にならずに積極的に学んでいく姿勢が見えて良いことが多いなと感じました。

何より8つの学科があって、すぐそばにいろいろな分野のことを学んでいる人と関わることができる環境がある。これは他の大学には無い部分だなと思います。

まずは自分の学科の基礎課程や芸術教養をしっかり学んでから他の分野とコラボレーションするとより良い融合が見れたり、良い影響をお互い感じられるかなと思いました。


【板橋区パートナーシップ宣誓制度】素敵ないつもの板橋が、またひとつ始まります ~医療の現場編~

https://youtu.be/D796P0ou_t4


【板橋区パートナーシップ宣誓制度】素敵ないつもの板橋が、またひとつ始まります ~私を受け入れてくれる場所編~

https://youtu.be/uRROVSwZUHM

【板橋区パートナーシップ宣誓制度】素敵ないつもの板橋が、またひとつ始まります ~不動産屋のおじいちゃん編~

https://youtu.be/8EFTNBiNnxo

【板橋区パートナーシップ宣誓制度】素敵ないつもの板橋が、またひとつ始まります〜放課後の高校生編〜

https://youtu.be/AURDXkCSVA8

【板橋区パートナーシップ宣誓制度】素敵ないつもの板橋が、またひとつ始まります〜就活と多様性編〜

https://youtu.be/oRN_DuRvygc

※2024年3月9日の広報いたばし特集版で紹介されました。

参加学生一覧 (学年は撮影時)

「板橋区パートナシップ宣誓制度」PR動画

デザイン学科 4年 日山瞳 

演劇学科   4年 浅沼日菜多

写真学科   4年 下沢真梨子

【板橋区パートナーシップ宣誓制度】素敵ないつもの板橋が、またひとつ始まります ~医療の現場編~

映画学科   3年 半田恭一 

演劇学科   3年 林優太朗 

写真学科   4年 下沢真梨子

【板橋区パートナーシップ宣誓制度】素敵ないつもの板橋が、またひとつ始まります ~私を受け入れてくれる場所編~

映画学科   3年 塚本陽名 

映画学科   3年 佐々木直穂 

映画学科   3年 片峯綾乃 

演劇学科   3年 山本華鈴

演劇学科   3年 村上美幸

写真学科   3年 髙橋向日葵

【板橋区パートナーシップ宣誓制度】素敵ないつもの板橋が、またひとつ始まります ~不動産屋のおじいちゃん編~

演劇学科   4年 林美月

演劇学科   3年 森田愛子

写真学科   4年 下沢真梨子

【板橋区パートナーシップ宣誓制度】素敵ないつもの板橋が、またひとつ始まります〜放課後の高校生編〜

映画学科   3年 片峯綾乃

映画学科   3年 井上 心

映画学科   3年 岩本紗和

映画学科   3年 和知空姫

映画学科   3年 塚本陽名

映画学科   3年 若林寛祐

映画学科   3年 和田沙也加

映画学科   3年 大山かりん

映画学科   3年 佐々木直穂

映画学科   3年 松尾和音

演劇学科   3年 松原由典

【板橋区パートナーシップ宣誓制度】素敵ないつもの板橋が、またひとつ始まります〜就活と多様性編〜

演劇学科   4年 平栗史麻

写真学科   3年 井村友紀

映画学科
穴澤 勇樹
日本大学藝術学部映画学科撮影録音コース卒業。 同学科の助手を勤めた後、(株)ピクトに入社 ​ 2019年1月より Cinematographer 2019年4月より 日本大学藝術学部映画学科 助教 2022年4月より 日本大学藝術学部映画学科 専任講師 ​ ​ ​ ​ Graduated Nihon University College of Art, Department of Cinema, Filming and Recording course. After working as an assistant at the university, joined PICT INC to further experience and knowledge in the field of filmmaking. ​ Jan. 2019- Cinematographer Apr. 2019- Assistant professor at Nihon University College of Art, Department of Cinema.
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