今までになかった「!」を生み出す。それが日藝の広告アプローチ。

きらぼし銀行本店でプレゼンする学生たち 役員の皆さんを前に緊張いっぱい!

取り組む題材はいつもナマもの。今そこにあるリアルな課題を発見して、既視感のない「!」なアイデアで課題解決を考える。それが日藝での広告の学びだ。

リアルな企業が抱える今そこにあるリアルな課題、それが日藝で学ぶ広告の題材だ。

きらぼし銀行から「日藝の学生の発想力で銀行の新たな価値創造を」と産学連携の申し出があったのはコロナ禍まっただなかの2020年春のこと。
きらぼし銀行は2018年に東京都民銀行・八千代銀行・新銀行東京の3行が合併してスタートした新しい銀行だ。取り組んだのは放送学科のCM実習履修者と星野ゼミの学生たちだった。
この銀行が抱えている課題は何か、学生たちの視点で解決できることは何か、約半年にわたりディスカッションとアイデア出しが繰り広げられた。
そして秋、きらぼし銀行青山本社において頭取はじめ役員に向けて学生たちから研究成果としてのプレゼンテーションが行われた。S N Sでのブランド広告、社内S N S活用によるインナーモチベーション向上施策など、おそらく広告会社では発想できない自由な学生視点での提案が続く。
結果、きらぼし銀行独自のサービス「前給」のYouTubeバンパーCM(動画再生前に強制視聴させる6秒CM)の企画が採用され、実際に制作しYouTubeにアップされることとなった。
学生たちにとっては、リアルな企業課題の解決方法を考え、さらには実際にCMという形で世に送り出せたことは、お決まりの授業カリキュラムでは得られない貴重な体験となった。
日藝の学生にとって銀行はおよそ縁遠いものと思われている。
しかしじかにそこで働く人々の言葉を聞き、その課題と解決方法を考えているうちに、これからの銀行の未来を自分自身で創造したいと考える学生も現れる。
自分の考えた6秒CM案が採用された学生の一人は、この春からきらぼし銀行に職員として採用され、日藝卒きらぼし銀行員としてのスタートを切っている。
大学の授業から大きな人生の転機を得る。これも日藝的トランスフォーメーションなのである。
(きらぼし銀行への学生プレゼンはその後も新たなゼミ生たちにより提案が続けられている)

YouTube6秒CM企画をプレゼンする学生
YouTube6秒CMきらぼし銀行「前給」フライング給料篇
2022年のきらぼし銀行プレゼン後、渡邊頭取室での頭取と星野ゼミ生たち

すみません。来年やることまだ決まってません。

放送学科・星野ゼミでは毎年グループ研究に取り組んでいる。しかしその研究テーマは毎年バラバラである。
指導教授の星野裕は大学卒業後長年広告会社でCMプランナーやクリエイティブディレクターとして働き、多くの広告を世に送り出してきた。
けれどCMを作ろう、ポスターを作ろう、という方法論から研究テーマを考えることはしない。
ルールがあるとすれば、「今」のリアルな社会の課題をみつけて、その解決方法を考えること。そして今までになかった「!」を考えること。
だから毎年取り組むグループ研究テーマは、その時日藝にもちかけられているリアルな企業や地方自治体の課題の中から、学生たちとの話し合いで決めている。
先述のきらぼし銀行をはじめ、小学館、石川県小松市や福井県勝山市といった地方自治体、今年度は警視庁からの課題解決にも取り組んでいる。
定型なオファーは一つとしてない。いわばナマものの題材ばかり。もちろん課題解決のための教科書も存在しない。
自分たちがどんな答えを出したいか。それは今までになかった新しい答えか。ものさしはそれだけだ。「何が正解ですか?」を求める学生には残念ながら向いていないかもしれない。
来年取り組むテーマも当然のように決まっていない。でも来年のことなんて誰にもわからない。来年はまた、その時一番取り組みたい課題を、その時のメンバーで決めていく。
広告は時代を映す鏡である。「今」その時を何よりも大切にする、それこそが日藝の広告の学びなのだ。

(関連授業)
放送学科:CM ゼミナールⅠ、Ⅱ(星野ゼミ)

放送学科
星野 裕
日本大学芸術学部放送学科教授。昭和生まれですが何か?大学卒業後中堅広告会社を皮切りに大手広告会社やプロモーション会社やCM制作会社などで広告コンテンツの企画や制作をかれこれ30年、その後会社を辞めて母校で広告やCMのことを教えたり学生たちと一緒に考えたりしてます。いじわるや戦争は嫌い。家族と犬と、おもしろいこと、ハピネスが好き。
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