音楽ビジネスの多様化~学んだ音楽をどのように生業として生かしていくか~

音楽ビジネスの多様化~学んだ音楽をどのように生業として生かしていくか~


最近、仕事は頂くものから自分で作り出すものへと変化しているように感じる。
雇う側が企画をして演奏者にお金を払う従来の形態から、自分が作り出した音源を配信して集金するスタイルも確立してきた。
従来の生の演奏会と、ネットを通じての何千万という利益を生むTikTokのスニペット動画、バーチャル・リアリティにおけるスターダムは、コロナ前コロナ後に分けるとすれば、音楽業界の「変革」「革命」になったのかもしれない。世界的スターからアマチュアミュージシャンまで、ライブができなくなったアーティストたちは一斉に、ファンと繋がる手段としてライブストリーミングを活用するようになった。演者がいて観客がいるというシチュエーションがお金を生んでいく、そこに面白さや喜びがあるわけだが、映画音楽やEスポーツの音楽は、メインが別にあって附属しているもの。だが、視聴者が莫大な数いる市場で、そこで評価を受けられればビックビジネスになるのは当然。編曲もその商業主義の産物だ。本物のコンサートの復活を求める声が止まない一方で、マネージャーやブッキングエージェント、そして数多くのアーティストたちは、コストや手間の面で有利なライブストリーミングが、パンデミック収束後も選択肢のひとつとして定着している。
音楽でサラリーマンになる(楽団員や教職員)というのは一見、生活が安定するので憧れるのは一時代前のこと。フリーという生き方に「心配」「恐怖」を持つのは当然だが、「一人起業家」になってこそ、音楽がビジネスになるはず。
聞かれてるだけじゃなく、見られてもいるのが音楽。私の教えた学生の妹が準ミスユニバースに選ばれた。メイク・ウォーキング・所作などができなければ選ばれないタイトルだ。それを武器に彼女達はこれから音楽でどうやって仕事をしていくか模索している。勿論、現行のクラシックの演奏会だけではなく、活動できるステージも広がってゆくはず。場面に応じ必要とあらば、自ら編曲する必要もでてくる。
だからこそ、和声の知識や即興演奏、各ジャンルの音楽の特徴を理解することが必要だ。それこそが大学教育で得られる専門の教養。
とにかくこだわらず、その時できることを精一杯やるしかない。
東大や京大のような学問の最高学府を出た学生も大手企業には就職せず、いきなり起業したりする時代。耐えて、耐え抜く昭和の年功序列ではなく、ネットの発展で多様化した出会いからもチャンスはある。一流のものを見極めるのも大切だが、流行りを読む力が若者にはあるはず。是非、大きく化けして驚かせてほしい。
音楽学科
萩原貴子
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