毎日がちがう一日。お客さまとの距離も魅力。  放送学科2016年卒 木本芽以さん。

ー現在の主なお仕事は「アイドルグループ」の運営ということですね?

木本芽以さん(以下、木本): 対外的には「マネジャー」ですけれど、所属タレントの管理だけでなく、オーディションの対応やアルバイトの管理と教育もしますし、特典会などでの販売の担当からグッズの企画・制作、イベントでの社外との連絡や対応も業務範囲です。お決まりの作業になるものもあるけれど、毎日なにか違うことをしている感じ。定時で作業をこなす勤務とはまるでちがうので、楽しんでやれています。

ー広告の営業や教育関係など、いくつかのお仕事を経験されてきたとのことですが、それとはだいぶちがうでしょうか?

木本: もちろん時間の管理や感覚という意味ではまず全然違いますし、いろんな意味で営業っぽくはないというか、コマーシャルベースじゃないというか。前職やそれまでの仕事のなかでは、あまり出したくないお金を相手に支出してもらわなければいけないような場面もあって、それはとても辛かったんです。アイドルの現場は、皆さんがそれぞれ楽しむためにお金を使ってくれる。だからこそ、こちらもいただく分だけ絶対楽しませるぞ!と思いながら仕事ができます。うまく達成できたときには喜びもひとしお。これを味わえるのはアイドルの仕事だからだと思っています。その意味では自分が担当しているアイドルは、お客さんを楽しませるための大事なパートナー。そういう思いは今までの仕事では抱けなかったことなのかもしれないです。
 メディアを使う仕事はどれでも、エンターテインメントの要素が多いですから、誰かを喜ばせる仕事ではあるんですけれど、広告であっても、どこか自分がやっていることや、なにかを創りだす場面とそれが受け手に届くまでが遠いなあという感じはありました。大学でテレビ番組の制作などを学んでいたときもそのことは少し気になっていたと思います。それに比べると今は受け手との距離が近いから、動員数とか売り上げという数字だけでなく、お客さんみんなの反応が直接こちらのモチベーションになる。そこが一番の違いかもしれません。

ー今のお仕事に大学で学んだことは生きていますか?

木本: あれこれ調べ物をしなければならないことは、番組制作でも広告でも今でもおなじで、例えば書籍をCiNii使って探し出すような取材や調査の基本の作業は今でもそのまま役に立っていますね。ただ振り返って考えると、大学ではもっと目的意識をもってあれこれ学んでおけば成長が早かったかもしれないとは思うので、これから学ぶ人はぜひそうしてほしいです。
 それと、思えば日芸には本当にいろんな授業があって、私の場合は学生時代、授業にゲスト参加してくれたアイドルグループのところでアルバイトで運営参加できたりしたことは、今そのまま役に立っています。あれがなかったらこの仕事をしていたかどうかわからない(笑)。

ー今のお仕事楽しそうですけれど、どんなところが魅力ですか?

木本: うーん。今担当しているグループが、一人を除いて全員ほぼ未経験の新人ばかりなんです。みんな最初は「頑張り方」すらよくわかっていないので、なにをやってもなかなかうまくいかないことが多かった。でもだんだん結果を出せるようになってくれて。初期には定期公演をやっても30人行くかどうかだったのが、最近では毎回60人にまで伸びてくれた。SNSやライブ会場での告知や、イベントや会話の中で、メンバーがお客さんへの向き合い方を、みんな真剣に考えられるようになった結果だと思うんです。メンバーの成長だけではなく、メンバーの気持ちがお客さんたちにもうまく伝わってきたので応援してくれたりする動きができた。そんな状況になってきてくれたことがうれしいし、なによりそれでたくさんのお客さんが楽しんでくれているという状況がすごく幸福なんです。そういう幸福を肌で感じられることが、私にとってのこの仕事の一番の魅力だと思います。
 誰かに楽しんでもらおうと頑張って、いろんな人と考えて。それがその場で結果となって返ってくる。そんなコミュニケーションの密度の濃さと近さは本当に魅力です。毎日いろんなことが起きるけれど、一日として同じ日はないし、でも同じ目標にむかってみんなで頑張る。そんな現場ですね。

ーありがとうございます!

放送学科
兼高 聖雄
社会学博士。東京都文京区生まれ。神奈川の生物科学系大学、福島のビジネス系大学、埼玉の総合政策系大学などの教員を歴任し、日芸に。専門はメディア・コミュニケーションの社会心理学。マスコミ理論、マーケティング、サブカルチャー論も研究範囲。担当したい科目はアイドル文化論。日芸のサークルでは「ドルクラ☆」が推し。
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