演劇と会計?マーケティング?


演劇学科のカリキュラムに「会計」や「マーケティング」の授業があるということが最近江古田界隈で注目を集めました。光栄です。これらの授業は企画制作専攻の学びの本質にかかわるものなので。

私たち企画制作に携わる人間は、「こんな芝居が作りたい~」と思っている人たちと「見たことのない舞台を見たい」という人たちを、現実世界でつなげる仕事をします。現実の世の中には、法律やルールや人のお財布状況など、芸術やイメージの話をするときには「めんどうくさい!どうでもいいよ~」と思われがちなことで満ちあふれています。でもね、このどうでもいいよ~ということをひとつずつクリアして初めて「見たことのない地平を見る!」ことが可能になるんですね。

どういうことかというと、人の頭の中の妄想を出発点に、「あ~この経験を待っていたんだ!」といってくれる人たちの前に、いまだ完成していない創造物や体験をプレゼンして、期待で胸を膨らませ、雨でも雪でも足を運んでもらい、大笑いしたり、感動したり、他では味わえない経験に満足してもらってお帰りいただく…というかなり「注文の多い料理店」的なプロセスを前提としたビジネス形態なのです、演劇は。そして生身の人間が多数働くのに、赤字で終わってしまったら続かないので、どうやってサステイナブルな状況を作り上げていくかを考えないといけません。ある意味ビジネスとしてはかなり「ミッション・インポッシブル」です。だからこそ、お金に振り回されてはいけないのです。鍵となるのはお金や数字に惑わされずに、味方につけること。「なあんだ!そういうしくみか!」と思ってもらえるように、一流の経営の専門家の先生方に優しく「会計」の基礎や「マーケティング」の基礎を教えてもらっています。先生方のおかげで、大人気授業になりました(^_-)-☆ さあ、トライ!

企画制作研究Ⅱ  (マーケティングの基礎)
演劇特殊研究Ⅳ (会計・財務の基礎)

演劇学科
奥山緑
日本大学芸術学部演劇学科教授。長らく趣味=仕事=舞台芸術だけの人生だったが、コロナのおかげで韓国ドラマを大量に視聴。韓国ドラマ界が猛スピードで古いドラマツルギーを脱ぎ捨て自己革新し続けていることに注目している。最近の私:ペーパードライバー歴40年だったが先日卒業。
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