音楽療法とは何か

「音楽療法=ヒーリングミュージック」ではありません

音楽は聴いて楽しむだけではなく、音楽によって人を支援することもできます。
そのような方法の一つに音楽療法があります。
音楽療法と聞くと、ヒーリングミュージックをイメージする人が少なくありません。
音楽療法とは、対象となる人の健康への個別的なニーズのために音楽や音楽活動を活用することです。
したがって、広い意味においてはヒーリングミュージックを聴くことは音楽療法であるといえるかもしれません。
しかし、ヒーリングミュージックによってすべての人が癒されるわけではありません。
ヒーリングミュージックは、聴く人の背景、音楽の好み、音楽を聴く状況などを考慮して作られているわけではないからです。
また、病院のホールでのコンサートを音楽療法だと思う人も少なくありません。
人の健康に資するという意味においてはホールコンサートも音楽療法であるといえるかもしれません。
しかし、コンサートの演奏家は自分の音楽表現を聴いてもらうために演奏するのであって、聴衆の健康への個別的なニーズを考慮しているわけではありません。
日藝の音楽療法の授業では、音楽療法に対する世間一般のイメージと専門的な視点から見た音楽療法の違いに関する話から始まります。

※現在、日本大学芸術学部音楽学科では音楽療法士の資格を取得できません。

音楽学科
大寺 雅子
日本大学芸術学部 音楽学科 教授
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