ほくほく線まつだい駅を中心にした松代の町並みを見下ろし、魚沼の山々を眺める松代城は、かつて春日山城の支城(本城の防衛のために作られたお城)として活用された城です。
標高385mの山頂には、本丸、二の丸、三の丸と称する曲輪、二重の堀切などの遺構が残っているものの、現在の城は1981年に復元建造物として建てられているもので、かつては展望台としても使われていましたが、老朽化が進み、今は年に一度の祭りに使われる以外は活用されていません。
そんな中、2021年開催の「大地の芸術祭」出品にあたり、鞍掛純一+日本大学芸術学部の有志は、この松代城をアート作品として再生し出品することとなりました。
「脱皮する時」
作者である鞍掛純一教授は、2006年の芸術祭において、空き家再生プロジェクトとして「脱皮する時」を手掛けたこともあり、再び建物の再生に取り組むこととなりました。そのなかで、松代城の既存構造はそのままに、天井の凸凹をなくし壁と床を整え、床を彫ることで足裏から体感する感覚によって素材を感じ、風景が楽しめる茶室のような空間に身を置くことで静かな時間に思いを巡らせることをコンセプトとしたタイトルとして「脱皮する時」を制作しました。
本作品には鞍掛教授をはじめ、本学部美術学科彫刻コースの教員・学生総勢20名のメンバーが参加しています。参加したきっかけは様々で、「ここでしかできない経験を積みたい」「彫刻と地域が結合した芸術作品を制作したかった」などの意見がありました。
また、当時はコロナ禍での制作ということもあり、「コロナ禍でも地域の方々が受け入れてくれたことがありがたかった」「顔を合わせて表情や反応を見ながら話すことの大切さを実感した」という意見も記録として残っています。特殊な環境下でチームとして作品を作り上げたことは、未来のアーティスト達にとって意義深い創作の時を過ごしたのではないでしょうか。
今回は「大地の芸術祭」への取組について概要を掲載しました。
最後に「松代城」を映像でご覧いただき、次回「大地の芸術祭」(会期:2024年7月13日~11月10日)に足を運んでいただければと思います。
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