「法」から自分探し

―「法」とは何か
 「法」が芸術にどのように関係するのか、「法」について学ぶのであれば法学部では?と思われた方も多いかもしれません。でも、その前に、そもそも「法」とは何か、何をもって「法」としているのでしょうか?
 一般的には、「法」というと成文化(条文として文章化)された「法律」などをイメージする方が多いかと思います。そして、そのような成文化された「法律」などを「守らなければならないルール」と考えて、それを守っていれば問題ないとか、それに従っていれば大丈夫というようにルールを守っていれば世の中が円滑に運ぶと想像することが多いかと思います。
 ただ、なぜ、その「ルール」=「法律」を守るのでしょうか?また、その一方で、「法律」などに書かれていなければ、何をやってもいいのでしょうか?
 講義を受けている学生から、“ルール以前の問題もあるのでは?”という意見がありました。確かに、この学生の疑問も否定はできません。なぜならば、「法」にはマナーやモラルといった倫理面から、「まだ文章化されてはいないけれど、守らなければならないモノ」も含まれていると考えられている国々もありますし、地域によってはこういった考え方で人々の生活が成り立っているところもあるからです。つまり、「法」には、「目に見える部分」と「目に見えない部分」が含まれているのです。そのため、「目に見えている法」だけを見ていても、「法」はその一部分しか語ってくれません。そこで講義では、「法」の理念・機能・分類・歴史・比較などさまざまな基準から考え、「法」が何であるかを考察することによって、「法」を紐解いていきます。

―「法」から学べること
 以上からわかるように、多様な視点から「法」を観察することにより、私たちが「当たり前」と思われているものとは異なった考えが多々であることに気づけるかと思います。ただ、それは「法」に対してばかりではありません。さまざまな視点で物事を見ることで、これまで考えもしなかった、思ってもみなかった新たな道が開けるかもしれません。それは取りも直さず、自分ならではの創造・創作につながる可能性が広がることを意味します。
 
 「法」が「目に見えている法」だけではないように、さまざまな視点から対象をみていくことが大事になる場面がいろいろあるのではないでしょうか。広く、かつ、多様な見方を身につけられるように、一緒に学んでいきたいと思います。

図書館に配架されている「法」に関する書籍の一部
いろいろな大学の先生と一緒に執筆した書籍の紹介

科目:法と政治

芸術教養課程
小堀 裕子
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