https://www.klphotoawards.com
このアワードはポートレートに特化しており、創設者のSteven Leeにより毎年開催されています。毎年異なる5名の審査員によって、世界中から応募されたポートレートが審査され、グランプリが決定されます。
今年は、合計1,200枚の画像が審査され、33名のメインファイナリストと5名の学生ファイナリストが発表されました。高城さんはこの33名のうちの1人です。
2024年7月20日~28日にクアラルンプールのテム・ハウスというギャラリーで開催された展覧会へ足を運んだ高城さんにお話を伺いました。
1. 今回ファイナリストに選ばれたとき、どう思いましたか?
さまざまな国のアーティストが応募するアワードでまさか自分がファイナリストに選ばれると思っていなかったので驚きました。同時に海外の方にもこの作品の意図が伝わり、評価されたことがとても嬉しかったです。
2. アワードに応募しようと思ったきっかけは?
きっかけは鈴木麻弓先生から「卒業制作を出してみたら?」とお声かけいただいたことでしたが、海外のアワードに応募することで、側弯症という病気を抱えて生きていく姉の姿を、そして姉に対する尊敬の思いを込めたこの作品を、より多くの人に知ってほしいという思いがありました。また、ポートレート作品において顔や表情の見えない写真からどこまでこの作品の意図が伝わるのか、海外のアーティストの目にどのように写るのかも知りたいと思い、応募しました。
3. KLまで行ってみてどうでしたか?
オープニングセレモニーでたくさんのアーティストの方とお話しましたが、どの方からも「あなたの物語を聞かせて」とまず問われました。
今回のアワードのテーマは「MAKE IT REAL」、"現実を写し出す"ですが、衝撃的な瞬間を写す報道写真としての面ではなく、写真に込められている意味や背景が必ず存在し、語り手として写真を撮っている、撮影者の視点で物語が紡ぎ出されていく写真が求められていたように感じます。今ではスマートフォンでその場にいる人が目の前の出来事をすぐに撮影できるようになったことで、表面的なことは写真家には求められなくなりました。だからこそ物事や事象をどのように見るか、どんな手法を使って、どのように作品を構築していくか、多角的かつ突き詰めて写真を撮る姿勢が今の写真家に求められているのだとみなさんとのセッションを通して感じました。
4. 今後の目標は?
現在は、自身が踊ってきた経験を活かしてバレエや演劇など舞台写真の撮影をしていますが、今後作家としても作品を撮り続けたいと思っています。
また、KLでの交流の中で環境破壊や自然をテーマに作品制作をしている写真家の方が、私がダンサーを被写体に写真を撮っていると知って、「ダンスと退廃的な自然をテーマにまた新しい表現ができると思う、いつか一緒に作品を作ることがあるかもしれないね」と声をかけてくれました。今まではダンサーのみに焦点を当てていましたが、多くの作家さんとのディスカッションを経て、ダンスを写真として昇華する新たな表現手法のヒントになったので、今後はそういったことにも挑戦してみたいと思っています。
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