プレイフルなアイデア発想

アイデアが出ない!そんな悩みは、誰もが経験したことがあると思います。アイデアが出ないときは、無意識に自分自身を縛っている「前提」に支配されていることが多くあります。こうでなければいけない、これはこうしないとできないなど、考えていくうちに積み上げてきた思考が、自分の足かせになっていきます。そんな沼から抜け出し、可能性を広げていくアイデア発想について紹介します。

遊びと発想は似たもの同士

遊びとは、一定の制約のなかで行われる活動です。鬼が振り返っても自由に動き回ってよい「だるまさんがころんだ」はあり得ませんし、サイコロの出目に従わなければ「すごろく」の意味はありません。ルールという「前提」のなかで、その制約を楽しむことが遊びの嗜みです。しかし、何十回とくりかえし同じルールで遊んでいると、その前提自体が飽きることの原因を作ってしまいます。これは、アイデアが出なくなる現象と似ています。

そんな時に、遊びでは「ローカル・ルール」というものが発明されます。ある部分では既存の前提に従うものの、その前提を構成し直す新しい概念が持ち込まれます。例えば「すごろく」では、1つだったサイコロを2つに増やして、その出目の足し算でコマを進めたり、コマ自体に固有の能力(出目の+2動けるコマや、一回休みをスキップできるコマなど)をもたせるなど、さまざまな工夫ができそうです。アイデアが出ない(前提に飽きが訪れた)ときは、自分自身が囚われてしまっている前提(ルール)を疑ってみることが重要です。

見立てて遊ぶ「アナロジー」な発想

しかし、自分自身が無意識に囚われてしまっている前提を自己認識することは、かなり難しいものです。
そのため、多くの発想法が存在しています。
なかでも「アナロジー(類推)」は、見立てることをする、それ自体が「ごっこ遊び」に近い発想法です。

Bというターゲットに、別のA(ソース)の要素を代入して「A(ソース)のようなB(ターゲット)ってなんだろう?」という問いかけで発想していくものです。

有名な事例では、板チョコレートから着想して、刃を折ることで切れ味の持続するカッターナイフが発明されました。全く異分野から持ってくることで、大きく発想を転換することができます。

「このロゴは〇〇みたいな形をしてる」や、「この扇風機はよく見ると△△みたいだね」など、身の回りにある物をよく観察してみてみましょう。さまざまなものが「っぽさ」を持っていることに気がつくと思います。

デザイン学科
片桐 祥太
2012年度、日本大学藝術学部デザイン学科インダストリアルデザインコース卒業。その後、株式会社クルーにてインダストリアルデザイナーとして勤務。商品開発研修の設計・ファシリテーション、製品デザイン業務を行う。その傍ら、グラフィックレコーディングやアイデアスケッチなどの可視化手法や、ワークショップという営みを通して、共創の場を活性化する活動をしている。可視化と発想の関係性を研究テーマに探究している。
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