“美術”と聞くと皆さんはどのようなイメージがあるでしょうか?
物心ついたころから、紙に鉛筆やクレヨンで自由な線を引いた記憶があるのではないでしょうか?
また海や公園の砂場でお城を作ってみたり、白詰草を詰んで王冠を作ってみたり。
授業中ノートに落書きや迷路を書いたりしませんでしたか?
そういった“遊び”は実は美術の“種”になっています。
絵を描く象がいるということを聞いたことがありますが、造形表現をおもしろがって自発的に行い、そこに集中できるのは人間だけなのかもしれません。
“美術”“アート”というと日常から少し離れたところにあるような気がしますが、本当はそんなことはなくて、みんなのすぐ近く、日常のなかにあるものです。
幼児保育の現場にいたときに毎月幼児、小学生たちとワークショップを行っていました。
そこに参加してくれる子どもたちを見ていると、実に楽しそうに、時には頭を捻りながら自分の思い描くものを一生懸命手を動かして作り上げようとしていました。
思いがけない失敗から、発見をしたり(美しい色で描いていた天使の頭に絵具が飛んで、飛んだところをツノにしておしゃれなデビルに描き変えたり)実際に触ってみて意外な感触に驚いてみたり(泥団子には水の配分が肝になります!)遊んでいるように見えて、遊びのなかにはいつも美術の種がたくさんありました。
美術学科ではその種を自分の制作に繋げていくことができます。
アーティストには時代を先取った感覚と発信力が必要な側面もありますが、日々のなかで流されてしまいがちなものからおもしろさをみつけたり、足を止め深掘りする繊細さも時には必要です。
そして生の根底にある表現する欲求はまさに人間らしいすばらしいものだと思います。
日々画面に向かうこと、素材に向き合うことをしながら基礎を固め、自身の作品として昇華することのできる美術学科での4年間はきっと皆さんの将来を豊かなものにする種を育て、芽吹かせ、花を咲かせることのできる土壌づくりの時間になると思います。

美術学科
坪井 麻衣子
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