音楽と光で魅せる「音響技術×照明演習 コラボレーション実習」

放送学科では毎年12月に音響技術専攻の2年生と照明演習の受講生がコラボレーションし、音楽番組の収録を行っています。

そこで、それぞれの実習を担当されている先生方にお話をうかがいました。

■音響技術Ⅱ・Ⅲ

担当講師:藤田厚生(放送学科 非常勤講師)

日本大学芸術学部放送学科非常勤講師/JAPRS個人会員
九州芸術工科大学音響設計学科卒業後、株式会社 FUN HOUSE 録音部、株式会社 birdie house、株式会社タイムロード プロフェッショナルオーディオ事業部を経て、2004年3月 有限会社エフ設立。
現在、ハイレゾルーション(超高音質)オーディオフォーマットに対応した機材による録音およびマスタリング、映像を絡めたライブ収録、さらに高音質配信の技術サポートを行う。
Live収録:「小澤征爾松本フェスティバル」「Animax Musix (@横浜アリーナ/2010~)」
YouTube/配信番組:『Live Magic (@恵比寿ガーデンホールほか/2016~)』
マスタリング作品:『植松伸夫 × 坂口博信 作品集 〜Music from FANTASIAN』、『METAL GEAR SOLID』シリーズ、『FINAL FANTASY』シリーズ、『信長の野望』シリーズサウンドトラック、Tower Records企画『Definition Series』

現場に近い形で実践的な録音を学ぶ

2年生の「音響技術」の授業では外部から演奏者を招き、実際に演奏していただいた音をレコーディングする録音実習がメインです。
今の時代の一番ポピュラーなレコーディングの手法を見せながら録音を行い、その音を聴くことで、実践的に学んでいきます。
録音実習の際には実際の現場に近い形で演奏者とやり取りを行うので、現場でのコミュニケーションの取り方も身につけてもらいたいと思っています。
また、2年生からは講義科目の「音響技術論」も始まるため、技術だけでなく理論や知識への理解も深めていきます。

1年間の集大成

コラボ実習は2年生の最後に行う実習なので、1年間の集大成として準備からすべて学生主体で行います。
実際の音楽番組の収録における具体的な作業の流れを体験し、録音機材の操作を習得するだけでなく、照明、映像のスタッフの役割の把握、さらに演奏者とのコミュニケーションなど、総合的な知識と行動を習得することを目的としています。
この収録における音響技術の受講生の役割は、スタジオフロアでのマイクロフォンのセッティング、副調整室でのミキシングの2つになります。
また、同時にマルチトラックレコーディングを行い、後日トラックダウンの実習に使用しました。
今回の出演者は、典型的な4人編成(ドラム、ベース、ギター、ボーカル/ギター)のバンドで、演奏された2曲は、どちらも夏のイメージがある楽曲です。
本番当日は事前の技術的なリハーサルの成果もあり、カメリハ〜本番の流れのなかで、マイキングのミスもなく、ほぼタイムスケジュールどおりに進めることができました。
ミキシングは近年のPCベースの録音手法とは異なり、生演奏での緊張感のある作業となりましたが、演奏者とコミュニケーションを取ることで、
意図に沿った音作りを、集中力を切らすことなくスムーズに行うことができました。
後日、各自トラックダウンした作品の発表会も行い、学生同士がお互いの作品を聞き合うことで、より完成度の高い作品作りができたと思います。

出演者の方とコミュニケーションを取りながら

■照明演習

担当講師:植松晃一(放送学科 非常勤講師)

1966年12月19日生。東京都出身。
1990年からフジテレビジョンに所属で入社以来今年3月の退社までの32年間、照明一筋のサラリーマン人生を送る。
主な番組・イベント作品に『FNS歌謡祭(文部科学大臣賞受賞)』、『HEY!HEY!HEY!』、『僕らの音楽』、『世界フィギュア』、『世界柔道』、『ワールドカップバレー』、『Bリーグ開幕戦』。
開発として、フジテレビ本社スタジオ、湾岸スタジオ、ローカル局テレビスタジオほか。
日本照明家協会元テレビ部会長、前理事。

今まで経験してこなかった世界を楽しく感じて

照明と言っても日常の自然現象の明かりから、一般生活で使う明かり、建築物・オブジェ等を照らす明かり、舞台・コンサートなどでの明かり、映像で使う明かりとさまざまなシチュエーションがあります。
先ずは明かりに関する基本的な理解を深めるところから勉強し、その先で各シチュエーションごとの明かりについて学んでいきます。
毎回の授業では、今現在テレビ制作等で使われている照明機材を実際に触りながら明かりへの理解を深め、その体感から明かりを作り上げるイメージを膨らませることが主な目的となります。
明かりに決まりごとはなく、自由に発想できる世界です。しかし、イメージを具現化するためには「技術」が必要なので、表現力と技術的な知識も併せて学んでいきます。
また、映像空間での照明の役割は実生活にある明かりの常識ではないところも多いので、その点も理解を深められるように授業を行っていきます。
照明演習を通して、今まで経験してこなかった世界を楽しく感じてもらいたいと思います。

難しいところが一番の見せ場

今回のコラボレーション実習は照明の立場でセット製作から始め、実際にテレビやコンサート・イベントなどで使用している照明機材
(フルカラーLEDライト、ムービングライトなど)や操作卓を持ち込み、楽曲に合わせたイメージのライティングをプランしてプログラムを組みました。
映像の中でのライティングは、カメラに映るものしか視聴者には届かないので、何度もスイッチングされる映像の中でのアーティストの見せ方やイメージ空間の表現を配色やセットの染め方、ビーム構成、ライトチェンジのタイミングなどで行います。
映像の中で効果的なライティングをいかにできるかが難しいところであり、見せ場となります。その点を踏まえてご覧ください。

指導に耳を傾ける学生たち
放送学科
石毛 みさこ
日本大学芸術学部放送学科助教。1990年生まれ。朝ドラと配信を研究中。日々の生活の中で、ふと隣にあるエンタメが好き。趣味は埼玉西武ライオンズ。
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