CAREER Model インタビュー企画 株式会社コーエーテクモゲームス・クリエイティブスタジオ デザイン学科卒業 五十嵐 青さんに聞いた「日藝」とは??

ー当時を振り返り,日本大学芸術学部へ入学された動機など,教えてください。

写真・映画・美術・音楽・文芸・演劇・放送・デザインの8学科を備えた日藝は美術大学というよりもエンタメ大学みたいなカジュアルな印象がありました。8学科がただ存在するのではなく、混ざり合って1つのものづくりをする日藝の環境は、コンテンツ制作の現場に近く魅力的だったので、デザインを学ぶというよりクリエイティブを学ぶために日藝に入学しました。

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ー学生時代はどのようなことを専門に学ばれていましたか。また,学生時代はどのようなことに打ち込まれていましたか。

コミュニケーションデザインを専攻していました。デザイン学科の中には複数の専攻がありますが、コミュニケーションデザインを専攻にすればゴール(他者の行動変容)のためならグラフィックでも映像でもプロダクトでも空間でも、何でもやっていいんだからお得みたいな。そんな考えでした。なにより、他者のことを考えるところからスタートするコミュニケーションデザインが楽しかったんです。
打ち込んでいたことはコンペティションへの参加です。特に大学二年次に参加した日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)が主催するJAGDA国際学生ポスターアワードはよく覚えていますね。当時は学生のうちに何か結果を出したいと沸々としていて、そんな時に開催された世界規模のコンペティションだったので、もう全力でした。制作中は、いつ何時も、たとえ体調を崩しても作品のことが頭から離れないほど夢中になっていました。それくらいデザインに打ち込み、自分がどれだけ本気なのかを実感した期間でもありました。結果的に3,122作品の中から銅賞に選んでいただけて、本当に光栄で嬉しかったことを覚えています。

JAGDA国際学生ポスターアワード2023銅賞受賞作品「引く手数多」(連作より抜粋)
「SHARE」をテーマに、現代では人そのものが共有の対象になっていることの不自由さをグラフィカルに表現しました。
国立新美術館で開催された授賞式の様子です。

ー学生時代に印象に残っている授業科目や課外活動などはございましたか。

私は布目ゼミに所属していたのですが、ゼミ生として参加した富里スイカロードレース大会や秩父文学祭の活動が印象深いです。イベントに関係するデザインはもちろん、当日の設営やスタッフまで色々やったのですが、自分が作ったものが実際にどう使われて、どう楽しまれているか(あるいはダメだったか)、イベント関係者・参加者の想いや熱量を肌でダイレクトに感じることができました。パソコンとだけ向き合っていると、どうしても自分の中だけで考えが完結し、机上の空論になってしまいがちです。学生の時にこうした経験ができたのは、とてもありがたいことだったと思っています。

秩父文学祭ロゴ
秩父の街並みと秩父文学祭が和装を推奨することから着想を得て、文学と和柄「矢絣(やがすり)」を融合させたデザインです。秩父から新たな文化が矢のようにまっすぐ進み、末長く続いていくことへの願いを込めています。
秩父文学祭準備の様子です。私は生肉の浴衣を着ています。本当はもっと格好つけた浴衣が良かったのですが、友人らに乗せられ生肉になりました。

ー日藝に入る前のイメージと,入学後,卒業後のイメージにギャップはありましたか。

ギャップというより想像以上だったのは、一つのことしかやらないという人がなかなか居ないことです。大学のサイトに「一芸ではなく、日藝に秀でる」(引用)という言葉があるのですが、日藝の学生は本当にその通りで、私はすごく良い言葉だと思っています。みんなあらゆるジャンルから刺激を受けて、臆さず手を出していく。ゆくゆくは自分自身が周りへの刺激となるような、日藝の謳う日藝気質は想像以上のものだったと思います。

卒業制作「私産私消」
2024年から2025年にかけて“令和の米騒動”と呼ばれる状況が生まれた一方で、多くの若者にとって米をめぐる問題は依然として遠い存在です。この生産と消費の距離が食の問題の一つであると考え制作しました。私自身がバケツで稲を育て、収穫し、食べるという実践から始め、実際に育てた米を用いた制作を通じて、生産と消費の魅力と可能性を可視化し、失われつつある食の当事者意識を問い直すアートプロジェクトです。インスタレーション・グラフィック・プロダクト・映像を通じて食を知るための「私産私消」を提案しました。

ー学生時代に抱いていた「こうなりたい,こんなことをしたい」という「夢」について教えてください。

初めは「とにかく大きな仕事がしたい!」みたいな漠然としたものでした。在学中に色々学ぶ中で、最終的には「自分のものづくりで多くの人を楽しませる仕事がしたい」へと変わっていきました。誰かを楽しませたり役に立つことの喜びを知れたのも大学のおかげです。

クリスマスに学生へ配る焼き芋を、布目ゼミのみんなで準備している写真です。他にも豚汁を振る舞ったり、七夕にはスイカを配ったり、みんなで一斉に線香花火をしたりと、とにかく人を楽しませることばかりやるゼミでした。芋を洗うだけでも「誰が一番きれいに洗えるか」を本気で競って言い争うような仲間たちでしたね。

ー現在のお仕事に就かれた理由や動機などを教えてください。

初めは広告代理店に就職するつもりだったのですが、前述したとおり楽しませる仕事がしたかったので、自分が楽しいものってなんだろうと考えた時にゲームが思い浮かびました。それでも広告も捨てがたく迷っていたところ、ゲーム企業で、広告・プロモーション領域のクリエイティブに携われる現在の会社を知りました。天職だと思い迷わず応募したことを覚えています。私の父が当社のゲームが好きで、私が就職した時はとても喜んでいましたし、私自身、幼い頃からプレイしていたゲームの企業の一員になるのは運命的なものを感じますね。

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ー現在のお仕事の内容ややりがい,こんな形で社会とつながっている,といった紹介をお願いします。

プロモーションデザイナーとして、ゲームタイトルのロゴ、ビジュアル、映像、WEBなどゲームタイトルの宣伝に伴う各種制作物の制作が仕事の内容です。私の担っている仕事は全体で見ればほんの一端ですが、さまざまな人の力が合わさって多くの方に長く楽しんでいただけるタイトルが生まれていく過程にはとてもやりがいを感じます。ゲームを置いている店舗に入ると、当社のタイトルを手に取る方を見たり、SNSでは世界中の方が当社のタイトルを楽しんでくださっていたり、新作タイトルの発売を心待ちにしてくださっているのを目にします。嬉しいのはもちろん、プロモーションデザイナーとして、最高の形でゲームをお届けしたいなと身が引き締まる思いです。

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ー現在のお仕事で「日藝」時代の学びや経験から得られた能力などがあれば教えてください。

まだまだ未熟ですが、目的のために逆算して手段を考える力ですね。大学時代は何に取り組むにしても常に目的意識を持ち、何のために、どうやって、結果的に…と考えていたのでそういう部分の思考力は仕事をする上で活きています。私の恩師である布目教授がそういう部分に厳しかったので、手を動かす時間以上に圧倒的に頭を動かす時間が長かったです。全てに意図と理由を持って臨めるので、結果的に良いものが作れると思っています。

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ー現在のお仕事を進める中で日藝を出て,良かったと感じるエピソードなど,ございましたら紹介ください。

仕事で相談や提案をする際には、相手にも時間を使っていただくことになるため、できるだけ効率よく進めたいと考えています。そういった時に本題と自分の考えを明確に伝え、相手のレスポンスに対して自分なりの答えを素早く返して着地まで辿り着くことができるのは、大学でプレゼンテーションを多く経験したり、他者と連携する流動的な制作があったからだと思います。あとは布目教授がこれまたこういう部分に厳しかったので…笑、日藝を出たおかげかなと思います。

卒業証書授与式の写真です。卒業時には大学から2つも賞をいただき、とても光栄でした。受賞も嬉しかったのですが、教授と私の家族が嬉しそうだったことが何より嬉しかったですね。

ーこれから受験を考えている高校生に,日藝をお勧めする(としたら)一言をお願いします。

本当になんでもやって良い大学です。一見突拍子もないようなことにも、みんな本気で取り組みますし、それをサポートする教授、職員、仲間、環境が揃っています。みなさんの夢中を叶えられると思いますので、日藝を選んでくれたら先輩として私も嬉しいです。

また、日藝を勧める話からは逸れますが、私自身、地方の出身で、東京の美術・芸術系大学を目指すにあたっては、いろいろと苦労しました。もし同じような境遇でこれを読んでいる方が進路を迷われていたら、簡単に言えることではありませんが、夢を諦めないでほしいと思います。日藝でなくてもかまいません。どんなルートでも良いので、自分のやりたいことに嘘はつかないでほしいです。ものづくりで生きていくのは最高に楽しいですよ。みなさんを心の底から応援しています。

デザイン学科 2026年卒業 一般選抜利用
五十嵐 青(イガラシ ジョウ)
株式会社コーエーテクモゲームス エンタテインメント制作本部 クリエイティブスタジオ
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