演劇学科生が韓国ソウルの「若き演劇祭」に参加してきました!

 令和7年度に引き続き、韓国若き演劇祭(Young Theatre Festival)に参加しました!
 若き演劇祭は、韓国・ソウル市の大学路一帯の主要小劇場で約5週間に渡って開かれる演劇祭です。毎年6〜7月に開かれていて、2026年は第34 回目の開催でした。韓国中の演劇・映画関連の学科を持つ大学(なんと50校以上!)が集まり、GLOBAL枠で日本、中国からも招聘されるなど、アジアにおける国際交流の場にもなっています。古典劇から意欲的な創作劇、人気のミュージカルまで、幅広いジャンルの作品が上演されます。

 今回若き演劇祭への参加に選ばれたのは演技コース3年の谷優吾さん作『ACT』という作品。『ACT』の初演は令和6年度の日芸祭で、その後谷さんが主宰する劇団ヒノイリの自主公演として再演、この韓国公演が三度目の公演となります。自主公演に関わったメンバーに今回選考を通過した追加メンバーを加えて、学生9名で韓国遠征のカンパニーが結成されました。
 公演準備は渡航の半年ほど前から始まります。今回は、フェスティバル側から上演会場に2つの劇場が提案されました。選択肢を提示して選ばせてくれるという待遇に昨年の上演成果を実感しつつ!、資料を見比べカンパニースタッフ全員で話し合います。選んだのは昨年と同じスタジオ・ブルー。大学路の中心部に位置する小劇場です。

 立地の良さや上演内容との親和性に加え、一度利用している経験を活かせる劇場を選ぶことにしました。海外公演では多くの場合劇場下見ができません。図面や写真など限られた情報を頼りにできる限りの想定をして作品を持って行きますが、実際には、行ってみなければ分からないということが多くあります。今回は、昨年初めての劇場にトライした先輩たちの知恵も借りながら、さらに良い公演を目指すことになりました!

3月に美術打ち合わせが始まり、4月に稽古開始、航空券や宿泊施設の予約などツアーの段取りもどんどん組んでいきます。海外公演の前準備は通常の公演以上にとにかく進めるべきタスクが押し寄せて来るので、カンパニー全員にスピーディなレスポンスが求められます。

 三度目の上演ということもあり作品の土台は出来上がっていますが、異なる文化の観客と出会えるせっかくの海外公演です。さらに良いものにしよう!ということで、舞台美術を大きく更新することになりました。海外公演に大道具を持ち込んで空間を充実させるのは、学生にとってもなかなかハードルが高いことですが、美術打ち合わせで放たれたのは「美しいものが見たい!」というプロデューサー奥山教授の一言。勇気をもらって韓国までの大道具の輸送を決意します。打ち合わせを経てデザインも決まり、輸送方法を整えます。結果的に選んだのは、パーツに分解した舞台装置を特大サイズのスーツケースに詰めて持っていくという方法!隙間なく見事にパッキングされた巨大なスーツケースとともに、韓国へと渡ります。

 6月10日に日本を出発し、無事に韓国に到着。劇場下見を兼ねて同じスタジオ・ブルーで上演している韓国・大慶大学の作品を観劇しました。学生たちは早速コミュニケーションをとり、お互いの作品を見合おうと約束しました。(これこそ、海外演劇祭参加の醍醐味です!)
 翌11日からは、早速劇場での設営作業です。演劇祭では多くの作品が次々に上演されるため、最低限の期間で設営、本番、撤去を終えなくてはなりません。翌日には公演初日を控えるため、教員もバックアップしながら最速で仕込みを進めます。

 音響、照明も設営を進め、リハーサルに備えます。日本ではなかなか出会わない機材があったりと、海外公演ならではの想定外も経験しながら、少しでも良い作品になるように調整していきます。スタッフ全員の頑張りどころです。

 仕込み作業の裏では、出演者たちが演劇祭の会場でもあるメイン広場で作品の一部を抜粋上演して宣伝するなど、韓国・中国の学生たちと共に演劇祭を盛り上げました。

 舞台、音響、照明の設営を終えると、ゲネプロ(=本番同様に行う最終リハーサル)、そしてあっという間に本番初日を迎えます。6月12、13日の計2公演で約150名の観客を動員しました。客席を埋めるのは、顔も知らない自分たちの作品と初めて出会う観客ばかり。学内の公演では得られない、貴重な経験をさせていただきました!

 終演後にはポストトークを行い、質疑応答の時間には韓国の学生や教員と活発な意見交換がされました。他国の学生の積極的な態度や語る言葉の確かさにも、多くを学ぶ機会になりました。

 劇場を出た後はレセプションパーティーに参加し、多くの方から嬉しい感想をいただきました。3カ国の学生たちは言葉の壁を超えて積極的に交流していました。「同じ芸術に学ぶ」ということだけで、国境や文化の違いなんて軽々と超えていける! そんな当たり前の、しかし決して失ってはならないことを強く実感した海外遠征になりました。

演劇学科
青木拓也(あおきたくや)
1984年生。演劇学科専任講師。専門領域は舞台美術デザイン。担当科目は「舞台美術基礎」「劇場技術基礎」[シアタープロダクション]など。 2006年より舞台美術家として活動。2021年、演劇学科専任教員に着任。
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