

2019年夏、石川県七尾市中島町に日本大学芸術学部演劇学科生16 名が約3 週間滞在し、地域住民との交流で得た経験をもとにした舞台作品を、能登演劇堂で上演しました。この上演や付随する学生による地域活動は「ノトゲキ」と呼ばれ、コロナ禍によるオンラインでの交流を含め、今年で8 回目となりました。
2026 年8 月10 日、演劇学科生11 名が石川県七尾市中島町に降り立ちました(演劇学科生1名、音楽学科生1 名が途中合流し、合計13 名での滞在制作です)。約2 週間の滞在制作の前半部分、地域交流を中心にお伝えします。

ノトゲキは中島町出身で、東京で俳優活動を行う日本大学芸術学部演劇学科卒業生である瀧腰教寛が、演劇活動を通して地域活性化に貢献したいという思いから発案し、中島町地域住民と能登演劇堂、演劇学科の協働で誕生しました。滞在期間中に学生は、演劇の稽古だけではなく、農作業などのアルバイトや、お祭り、地域住民との交流会、ボランティア活動に参加します。住まいは改修した古民家、食事は自炊、共同生活です。

朝は、心が洗われるほど静かです。そんな静けさの中、お隣さんが「赤飯炊けたよ!」とお裾分けにやってきます。野菜やお米も届きます。日中は、色づき始めた稲穂に囲まれた道を進んで、アルバイト先の山や畑、稽古場である能登演劇堂や地域の集会所へ向かいます。稲穂を撫でる風は、学生の背中も押すようで、東京とは違うエネルギーに満ちた学生を見せてくれます。夜は、虫の鳴き声が主旋律です。


滞在前半の最も大きなイベントは、地元伝統行事である「新宮納涼祭」への参加です。近年、地方の伝統行事が後継者不足により、規模縮小の流れにあります。「新宮納涼祭」も同様です。芸術学部生の参加で、神輿が2基、去年より多く宮出しできたそうです。舞台芸術の源流である祭礼に参加した学生は、短時間では消化しきれない感動を味わったと思います。(私は圧倒されて、土手で転びました)

これまで学生たちが見てきたものや聞いたものを、再構築してくれる力が能登にはあります。それはシンプルに豊かな自然が影響しているとも思いますが、もっとも大きいのは人の心の豊かさだと感じています。
舞台芸術を学ぶ上で必要なもの全てが、大学にあるわけではないということは、学生自身も理解していることです。ただ、それが何なのかまでは、なかなか辿り着けません。私もまだ道の途中です。
能登演劇堂は、1995年に地域住民の活動により誕生した奇跡の劇場です。学生たちは、地域の人たちと言葉を交わし、その繋がりから生まれるものを活力にして作品を形にしました。
いよいよ学生たちは、上演にむけて能登演劇堂の舞台に向かいます。
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