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見る人の気持ちを考えて試行錯誤を繰り返す。そんな最高に楽しく、やりがいのある仕事に就けたのは恩師の金言でした。

松實 航

振り返ると、絵やアニメに触れる機会は多かった。
漠然と考えた将来はアニメの方へ。

父親が建築事務所を経営しており、家に紙とかトレーシングペーパーなどがたくさんあったので、小さい頃からトレーシングペーパーでアニメーションの映し絵をしたりしていましたね。ジブリ作品などを観るために両親が映画館へ連れて行ってくれて、絵やアニメに触れる機会は結構多かったのかなと振り返って思います。「将来」というキーワードを考える時に、漠然とアニメや絵を描いたりする方に進みたいなと考えていました。

通っていた高校は進学校で、「大学選択がその後の将来を決定する、そのために高校時代は遊びを捨てて勉強に打ち込んで大学で遊びなさい」という指導があったように記憶しています。そのため高校2年生くらいで将来を考え始めたときに、アニメを作りたいなとふわっと思い始めていました。いろいろ調べた結果、日本大学芸術学部に辿り着きました。

松實航 関連画像- 卒業生インタビュー

日本大学芸術学部キャンパス にて撮影

「ここまでやってきたからアニメを作って欲しいという思いはあります」片渕先生からいただいた金言が今の会社と出会うきっかけに。

映画学科の「映像表現・理論コース」は、僕が入学した年に開設されたものだったと記憶しています。つまり一期生ですね。進学先を考えている時に、映画学科 映像表現・理論コースで映像制作、アニメーション制作という文字を見つけ、こういうことが学べるのかと感じたことが入学のきっかけです。

その中で映像コースを選択し、卒業まで基本的には映像専門で学んでいましたが、他のコースや学科の授業も選択できるので、時々映像以外も学ぶという感じでした。あとは部活動で「熱血漫画根性会」という漫画研究会に所属しており、そちらの活動も楽しくやっていました。映画を見るという課題も多く、これまで全く触れてこなかった昭和の日本映画や洋画を大量に摂取できたことは、今でもかなり養分になっています。多様な授業がたくさんあったのでそれぞれに面白さがありましたが、一番記憶に残っているのは、映画を英語で見て、英語でレポートを提出する授業です。それまでは吹替えで見ることがほとんどでしたが、その課題以降、字幕で見ることも増えていきました。また、映画を見る幅も広がっていったことを覚えています。

4年生になり、「アニメを作りたい!」だけど就職ってどうしたらいいんだろうと悩んでいた時期、アルバイトとして似顔絵を描いていました。もともと絵を描くことが好きだったことと、漫画研究会で定期的にそのような機会もあったため、これを仕事としてやっていっても面白いかな、と思っていた時期もありました。

就職活動に難航し、いわゆるお祈りメールばかりいただいていた時、ゼミの片渕先生がおそらく何気なく仰った「ここまでやってきたから、アニメを作っていってほしいという思いはあります」が当時の悩んでいた自分に刺さり、それが金言となりました。
就職って大変だ……とメンタルが弱っていた頃でしたが、金言を胸にもう一社だけ受けてみよう……と東映アニメーションを受けました。その時、同じゼミにいた桐山君という同期も一緒に受けたのは心強かったですね。結果的に二人とも採用され、現在も同じ社屋で働いています。

松實航 関連画像- 卒業生インタビュー

日本大学芸術学部キャンパス にて撮影

作品は、見てくれる人がいて成り立つもの。
その人の気持ちを考えて、試行錯誤している時が一番やりがいを感じます。

学生時代はものづくりをして生きていきたいと思っていました。その中で、一番の選択肢がアニメだったと思います。実写には実写にしかできない、アニメにはアニメにしかできない表現があります。エンターテインメントとして、見る人を楽しませるものを作っていきたいという気持ちは今も変わっていません。

今まで担当してきた作品には原作があります。原作のファンもいて、担当していく中で自分もその作品が好きになっていきます。原作の先生はここはどう思って書いていたのかな、自分はどういう映像を見たいかな、と主観と客観を交えて試行錯誤しているときが一番楽しいし、やりがいを感じます。

たくさんの人と打ち合わせをし、時間をかけて一話が完成します。それがテレビや映画館で流れたとき、今たくさんの人が見てくれているんだと、つながりを感じるんです。作品作りは、結局見る人がいて成り立つものだと思っています。

東映アニメーション株式会社 大泉スタジオ にて撮影

「日藝です」「僕も日藝です」

実は人前で話すことが苦手で、今でも克服できたかというと、そうではないとも思いますが、授業内で課題の講評や発表、人前で自分の作った作品の説明をする機会が定期的にあったことは非常に大切だったように思えます。こういう機会で強制的に自分を見られるという体験は必要だったと、今改めて感じます。

東映アニメーションに限らず、映像業界はやはり日藝卒は多いです。「日藝です」というと「ああ日藝ね」と会話の種になることもあれば、「僕も日藝です」と、同窓生に会うこともしばしばあり、少なからず強みと言えるのではないでしょうか。就職するときに先輩からアドバイスを頂ける機会も多く、映像に限らず漫画や出版業界の話が聞けたり、在学中にもいろんな選択肢が生まれる面白い学校です。

松實航 関連画像- 卒業生インタビュー

日本大学芸術学部キャンパス にて撮影

(※職業・勤務先は、取材当時のものです)

松實航 プロフィール
松實 航 まつみ わたる
2016年映画学科映像表現・理論コース映像専攻卒。32歳
東映アニメーション株式会社 製作本部 製作部 製作編成室編成課所属。アニメーション演出業務を担当する。

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