書く仕事がしたい|。
小学生から続くぶれない
想いが今の自分を
作っている

映画学科
安原 真広

「書く仕事」に就くために、日藝を選択

小学校の卒業文集に書いた将来の夢は、新聞記者。小さい頃から本を読むことと文章を書くことが好きで、将来は小説でもエッセイでも評論でも記事でも、なんでもいいから文章を書くことを仕事にしたいと思っていました。だから大学受験は文学系一本槍。いくつかの合格校から日本大学芸術学部を選んだのは、雑誌の企画や編集、著述業などで活躍なさっている講師の授業が多いことに魅力を感じたからです。

入学後は、何しろ本を読みました。文芸資料室で世界文学全集や批評の名作と呼ばれるものを片っ端から読み、2時間半の通学時間もすべて読書に当てていました。

読む、書く、編集の基礎を学び、
現場を知った4年間

文芸学科は1年次からゼミがあるのですが、最初は機械的に振り分けられます。1年次はシェイクスピアを読むゼミへ。自分では選ばない(笑)。しかしここで、古典を集中して読み分析する練習ができたことは貴重な体験でした。古典から現代までつながる、物語の構造を学ぶことができました。

3年次からは創作のゼミを選択。ゼミでは毎週2つの課題が出されました。1つは課題の本を1冊読んで感想を書き、発表すること。本を読み感想をまとめることも、他学生の感想を聞き新たな視点に気付くことも勉強になりました。もう1つの課題は、新聞から気になったネタを選び、それを基にフィクションを書くこと。この課題ではネタ選びの大切さを教えていただきました。どのような視点でニュースを読み、興味を持ったネタをどう料理するのか。書く時にも編集をする時にも必要な考え方の基本をたたき込まれたと思います。

写真家や編集者などのゲストを招いてお話を聞く、湯山玲子先生の授業も印象に残っています。湯山先生とは授業だけの関わりではなく、事務所で仕事を手伝わせていただいたことも。それまでは「編集は企画を考えるクリエイティブな仕事」と思っていたのですが、実際に働いている人の話を聞き、現場を見ることで、企画を考える以前のリサーチが大切と実感しました。

現在、私は日藝の非常勤講師として編集の授業を担当していますが、学生たちにもこうした気づきを得てほしいと思い、できるだけ自分の現場経験を伝えるように心がけています。

スタートはギャル雑誌。
どんなジャンルでも「編集」の基本は同じと知る

卒業後は他大学の大学院に通いながら仕事を始めました。最初に入社したのは、日藝の先輩が紹介してくださった編集プロダクション。そこでギャル雑誌の編集を担当しました。渋谷のハチ公前でスナップ撮影をしたり、109に洋服を借りに行ったり、流行の傾向を知るためにショップを回ったり。それまでギャルのファッションや文化に興味があったわけではないのですが、雑誌を読む相手を想定し、そこに向けて何をどのように出すか考える、丁寧にたくさんのネタを集めて発信する。そうした編集の仕事はどんなジャンルの本を作る時も同じと身をもって知ることができたのは、とてもよい経験だったと思います。

その後、Web制作会社でライター兼ディレクターを務めたり、ファッション誌の編集部に在籍したり。それらの経験を活かせる仕事だと思い、現在の職場に移ってきたのが6年ほど前。最初はアートのECサイト「OIL by 美術手帖」の立ち上げに関わり、1年ほどでウェブ版「美術手帖」の編集の仕事に携わるようになりました。

デザイン、写真、映画、放送。
学生時代の幅広い学びが、すべて今の仕事に結びついている

自分で企画し、取材し、書き、それを多くの人に発信できる今の仕事は、日藝入学前からずっとやりたかった仕事そのものです。SNSで拡散されたり、コメントが付いたり、読者の反応がすぐにわかるのが楽しい。また「美術手帖」は美術においては絶対的な影響力を持っている媒体なので、美術の歴史を作っている責任とやりがいも感じています。

日藝のよさの一つに、他学科の授業も受けられることがあります。ライターも編集者もたくさんの知識やさまざまな分野に対する好奇心を持つことが必要な仕事なので、写真やデザイン、映画、放送などを幅広く学べたことはとても役に立っています。

学生時代は芸術学部の運動部連盟に属する「徒歩旅行部」に入っていました。自転車であちこちを旅行し、テント泊をする。ここで他学科に在籍する友だちがたくさんできたことも大きな財産です。デザイナーやフォトグラファーなど、今も仕事で関わっている友人が多くいます。

制作の基礎と現場の視点、幅広い芸術分野に対する知識や興味、そしていろいろな分野のプロフェッショナルである友人。多くのものを得られる日藝は、本気で何かを作る仕事をしたいと思っている人には最適の環境なんじゃないかと思っています。

(※職業・勤務先は、取材当時のものです)

安原真広 やすはら まひろ
2010年文芸学科卒。35歳。
編集プロダクション、Web制作会社などを経て、
株式会社カルチュア・コンビニエンス・クラブ入社。
CCCアートラボ事業本部メディア事業部にて、ウェブ版「美術手帖」の編集を手がける。
日本大学芸術学部文芸学科非常勤講師

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