まだ「ないモノ」を
創り出す。
だからデザインは
難しくて、楽しい。

デザイン学科卒業
藤ヶ谷 友輔

楽しいこと、
面白いことを突き詰めたい!
だから、日藝

日大の付属校に通っていた高校時代、特に好きな勉強や大学で学んでみたいと思えることがありませんでした。ただ、子供の頃からずっとモノづくりが好きで、通常科目よりも技術や美術、図画工作が得意でした。そんな状態で高校3年生を迎え、日大にはどんな学部があるのか調べてみた時に見つけたのが芸術学部デザイン学科です。

それまで「プロダクトデザイナー」という職業があることすら知らなかったのですが、このインダストリアルデザインコースでは、自分が好きなモノづくりを「勉強」として学ぶことができるなんてすごく面白そう、ここしかない!とすぐに決心しました。そこで大学見学に行ったのですが、在校生作品のクオリティが高くてショックを受けました。展示されている卒業制作は、実際の製品との区別がつかないほどで、壁に貼ってあるデッサンもどれもうまく、「自分にはムリだな」と諦めかけました。

しかし、一緒に見学に行った友人から美術予備校の存在を知り、その足で予備校に連れて行ってもらい、その場で入学手続きをしました。受験まで確か1ヵ月程しかなく、もうやるしかない、と頑張り、なんとか合格することができました。

スケッチ、企画、モデリング、PCスキル、
学ぶことは沢山あり、すべてが楽めた

入学すると、周りにはスゴイ先輩や同級生がたくさんいました。自分は急遽進学先を決めたこともあり、スキル的に出遅れていたので、授業に真剣に取り込むのはもちろんのこと、授業以外でもスケッチのうまい同級生に描き方を教えてもらったり、先輩にモデルの造り方を教えてもらったりしていました。また、夏休みには「1日3枚」と自分で目標を決めてスケッチを描くなどの努力もしました。

授業で特に印象に残っているのは、1年次に子ども用遊具のデザインをしたことです。グループワークで大きな遊具を作り、所沢の保育園に持ち込んで実際に子どもたちに遊んでもらい、反応を見る授業でした。それまでは自分の価値観でデザインをしてしまうことが多かったのですが、「子どものため」のデザインを経験をすることで、自分のやっていることの先には自分ではない誰か=エンドユーザーがいることを実感することができました。また、皆でアイデアを出し合い議論しているうちに、当初想定していたものとは大きく異なる作品になったのも新鮮で、新しい体験でした。

大学では4年間、工業製品の企画とデザインを中心に学んでいたのですが、自分でも本当によく勉強したと思います。でも、自分がやりたいことだから、すべてを楽しく感じ、「勉強」が苦ではありませんでした。また、こうなりたいと憧れる先輩、同じような志を持ちモチベーションの高い仲間。皆で刺激し合い、高め合える素晴らしい時間でした。

できなかったことをできるようする。
家電のデザインは自分にピッタリのフィールド

大学時代、「あったらいいな」というアイデアや気づきをふと思いつくたび手帳にメモしていました。卒業までに、その数は100以上になりました。見返してみると、既に実現しているアイデアもいくつかありますが、「磁石が貼れる鏡」「紙を丸めて使う懐中電灯」といった製品アイデアや、「皆、PCの縁に付箋貼ってるな、、」といった気づきだけのメモもあります。デザインを通して生活を便利にしたり、楽しくしたり、これまで出来なかったことを出来るようにしたりと、社会をよりよい方向に持っていきたい。当時からそう思っていたので、今の仕事である家電製品のプロダクトデザインは、自分にピッタリのフィールドだと思っています。

家電製品のデザインは、制約の多い仕事です。たとえばエアコンであったら、内側からは構造の制約が、外側からは法律や建築の制約がある、掃除をする際に触ることも考慮しなければならない、見た目も部屋のインテリアに合うように、もちろんコスト面も考慮しないといけない。こうした課題を整理し、再構築して、バランスよくまとめる。難しい作業です。でも、だからこそ、すごく面白い。課題を解決する方法を見つけた時の喜びは大きいです。

ここ数年は、公共向けのソリューションデザインの仕事も担当しています。たとえば、コロナ禍で混雑した電車に乗りたくない、という課題を解決するためにはどうしたらよいか。家電製品のデザインと全く違うようで、根本の作業は一緒だと感じています。課題をバランスよく再構築してまとめること、そして、最終的に人に届けること。日藝で身につけたデザインの考え方は、広く応用が利くものだと実感しています。

プロダクトデザインという楽しい仕事を、
みんなに知ってもらいたい

デザイナーの役割や活躍の場は拡大しています。調査・分析・検討・提案・デザインと筋道を立てて開発することが求められているし、それは大切なことだと思います。一方で、課題からプロセスをたどっていくと、当たり前の結論になってしまいがち、という一面もある。たとえば、大きくて邪魔だからそれを解決するには小さくする、といったように。ひとつの正解ではある、でも、もっと根本的に解決できる方法はないのか。一つの正解に満足せず、もっと突き詰めて考える。その先に革新的な解決案があることもあります。日藝時代にアウトプットに対して徹底的に考え抜く姿勢を学んだことは、今後も私の強みであり続けると思っています。

私は好きなことを仕事にしました。この仕事を始めてから10年以上、仕事がつまらないと思ったことはありません。これからもずっとモノづくりを続けていきたい。そして、もう一つ。このプロダクトデザインという”メチャクチャ楽しい”仕事を、昔の自分のようにまだ気が付いていない人がいるのであれば知ってもらいたい。そのためにもっと世の中に広めたい、広められる存在になりたい。それが、今後の目標です。

(※職業・勤務先は、取材当時のものです)

藤ヶ谷 友輔 ふじがや ゆうすけ
2011年デザイン学科 インダストリアルデザインコース卒 33歳 
三菱電機株式会社 総合デザイン研究所勤務

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