たくさん迷って、
いろんな人に会って、
右往左往してたどりついたのは「本が好き」という
最初の想いだった。

文芸学科卒業
瀬川 ゆあん

高3の夏、まさかの文転

高校3年生までは、芸術系の学部に進学するなんて思ってもいませんでした。高3では理系クラスで、漠然と将来は実験系の仕事に就くのだろうと考えていました。でも高校の先生から、実験系の仕事の枠は少ないと聞き、自分はその枠に入れるのか、と不安になったり。このまま理系の大学に行き就職しても楽しくないのではないか、と唐突に思ったり。先のルートが見えない、自分の未来がイメージできないことで、将来に不安を感じていました。

そんな高3の春の終わりか夏の初め頃、日本大学の芸術学部でオープンキャンパスがあると聞き、高校からわりと近かったのでなんとなく見に行くことにしました。すると、今まで見たどんな大学のオープンキャンパスよりも楽しい! 自分が大学生になった時の生活が一番ハッキリ見えたのが、日藝でした。理系なら就職に有利、芸術系に行って就職できるの? というのが大人の考え方かもしれませんが、当時の自分は逆に、「芸術系だったら、フリーランスでも働けるんじゃないの? なら、こっちの方が希望がある」と結構、安直に考えましたね。理系をスッパリあきらめ、受験勉強を日藝にシフトしました。

世の中には本当に
いろんな人がいる!

大学では、世の中には本当にいろいろな人がいるんだな、と実感しました。本が好きなので文芸学科を選びましたが、周囲には、まじめで変わっていて面白い人が多い。僕は外でも積極的に人と会うようにしていたのですが、知らない人と会って話を聞くことで、自分が知らない世界がたくさんあるんだと実感しました。

少し留学もしたのですが、文化、環境が違うだけで世の中には本当にいろんな人がいるんだと知識ではなく自分の目で見て知る事ができました。また学科の枠を越えてさまざまなジャンルの授業を受けることができたのも、よい経験でした。放送学科のニュース研究や、文芸学科の海外文学研究など、印象に残っている授業をあげると切りがありません。授業でも人との出会いでも、気づきがたくさんあった4年間でした。

やはりクリエイティブな
仕事がしたい、
と、出版社へ転職

本が好き、と言いましたが、文芸学科には、最初から作家志望だったり編集者志望の同級生がたくさんいて、その人たちに比べたら自分の本好きなんてたいしたことじゃない、大学生の時はそう思っていました。だから、就職活動でも出版社は一つも受けず、第一志望はテレビ局。でも、何社か面接を受けているうちに、向いていないんじゃないかという気がして、迷いが生じてきました。それでその後は、ゲーム会社や新聞社を受けたりと段々方向性を変えていって、そうしているうちに、やはり書くことが好きなんだ、他学部の人たちよりもよく書けるし、と気づいてきたのですが、ちょっと遅かった。卒業を迎えてしまい、内定をいただいた食品会社への就職を決めました。

しかし働いて思ったのは「やはり、クリエイティブな仕事をやってみたい」ということでした。一念発起、仕事をしながら転職活動を開始。大学時代の就活で最後に楽しいと思った紙媒体とゲーム媒体の2つに絞って何社か面接を受け、最後にようやく出版の方が好きだという結論に至り、現在の職場である岩崎書店に入社することになりました。

新しい発想で、
大きくなった時に
読み返したくなる本を作りたい

すごく遠回りして、本が好きというスタート地点に戻ってきた、ということかもしれません。でも、その迷いや遠回りが無駄だったとは思いません。編集の仕事は多くのことに興味を持たなければいけない仕事なので、バラエティに富んだ経験をさせてくれた日藝には感謝しています。また、たくさんの人に会う仕事でもあるのですが、会う方の中にはいろいろな分野のエキスパートの方も少なからずいらっしゃいます。何かを突き詰めている人というのは少し話しづらいと感じる人もいるかもしれませんが、僕は日藝でちょっと変わった人たちと付き合ってきたので、今どんな人に会っても「友だちの○○をすごく突き詰めたらこうなるんだろうな」と思い、抵抗なくお話しすることができます。

学生時代にいろいろと動き、フットワークの軽さを鍛えてきたことも、今の仕事に役立っています。その人の子ども時代に強烈な好きを残したい、記憶に残るものを残したいと思っていたので、児童書に強い岩崎書店を選びました。まだ入社8ヶ月ですが、先輩たちは一つ一つにこだわりを持ち、自分が作った本を通して子どもたちにまっすぐに育ってほしいという想いを持って仕事をしていると感じています。

子どもたちの教育に関わることができるとてもやりがいのある仕事です。子どもって怖いこととか、極端なことが好きですよね。たとえば魚の背びれって尖っていて危ないのですが、それを「危ないから触らないで」と言っても興味を持たない。でも「こうやって触ったら指に刺さるからね」というと逆にみんな触りたがる。だから、子どもにはインパクトのあるものを最初に持ってくるとウケるのかな、と思ったり。一方で、違ったやり方もあるし、若い自分たちが新しい発想で違ったものを作っていくことが、電子化などで過渡期に来ている出版界にとって必要なんだろうと思ったり。まだまだ、わからないこと、迷うことはたくさんありますが、子どもの頃に僕が作った絵本や児童書を読んで、大きくなった時に「やっぱりこれ好きだな」と見返してくれる。そんな本を作れたらいいなと思っています。

(※職業・勤務先は、取材当時のものです)

瀬川 ゆあん せがわ ゆあん
2020年文芸学科卒。25歳。
食品会社勤務を経て、編集者として(株)岩崎書店に勤務。

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